風船爆弾から唯一の空襲まで、実は第2次大戦で米国本土も攻撃を受けていた、犠牲者も
日本の潜水艦が油田を砲撃
1942年2月23日（現地時間）、西野耕三中佐が艦長を務める日本の伊号第17潜水艦がカリフォルニア州の沖で浮上し、サンタバーバラ近郊のエルウッド油田を砲撃した。エルウッドはカリフォルニア州最大級の油田だったが、サンフランシスコやロサンゼルスの油田と異なり、大規模な軍事施設はなかった。 当時の新聞報道によれば、攻撃は午後7時15分に始まり、合わせて16発ほどの砲弾が撃ち込まれた。近所でウィーラー・インという宿泊施設を運営していたヒルダ・ウィーラーはその様子を次のように説明している。 「私たちと海岸の間に落ちた砲弾が地面を引き裂くのが見えました。（中略）最初は皆、射撃訓練だと思っていました。そして、後ろを振り返ると、地面から何かが噴き出していました。死ぬほど怖い体験でした」 驚くことに、被害は500ドルで修理可能な掘削装置の損傷と、不発弾の処理を試みた1人が負傷しただけだった。米軍機が潜水艦を追跡したが、逃げられてしまった。 それでも、この出来事をきっかけに、米国西海岸に暮らす人々は侵略への大きな不安を抱いた。新聞には「潜水艦がエルウッド油田を砲撃」「米国本土への初めての攻撃」などの見出しが躍った。 間もなく、米国政府は12万人以上の日系米国人を強制収容所に送り、1945年まで収容し続けた。大部分が米国市民だった。
謎の飛行物体と「ロサンゼルスの戦い」
エルウッド油田が攻撃された翌々日、疑心暗鬼の拡大が、第2次世界大戦下の米国本土で最も奇妙な事件の一つを引き起こした。 米海軍情報部はカリフォルニア州沿岸の部隊に対し、日本軍の攻撃に備えるよう指示した。 1942年2月25日午前2時、米軍はロサンゼルス上空に接近する未確認飛行物体を発見した。そして、日本軍が航空機や気球でカリフォルニア州を攻撃するかもしれないと考えて空襲警報を鳴らし、ロサンゼルスの街は厳戒態勢に入った。 目標に向けてサーチライトが照らされ、1400発以上の対空砲が発射され、夜空には混沌（こんとん）とした光景が広がった。大混乱の最中、数人が交通事故や心臓発作で命を落とした。しかし、敵機が撃墜されることはなく、残骸や破片も回収されなかった。 この出来事は「ロサンゼルスの戦い」と呼ばれているが、謎の飛行物体に関する明確な説明はなく、今も謎に包まれている。
