zkSync開発元マターラボ、「ZK」の商標出願を取り下げ
マターラボが「ZK」の商標出願を取り下げ
「zkSync」の開発元であるMatter Labs(マターラボ)が、「ZK」の商標出願を全て取りやめると6月3日発表した。 「zkSync」は、ゼロ知識証明(zkp:zero knowledge proof)を活用した、Ethereum(イーサリアム)のレイヤー2ソリューションだ。 マターラボは、今回の決定を決めるまでの議論にて「ほぼすべての人が、信頼できる中立的立場にあると認識されている人々のグループに同意するのは不可能だろう」という重要な事実に気づいたと説明している。 今回の「ZK」をめぐる騒動は、今年3月のPolyhedra Network(ポリヘデラネットワーク)による「ZK」ティッカーを使用したトークンのリリースから始まった。 「zkSync」はその状況の中で、「ZK」ティッカーを使用したトークンの取引所上場を進め、「Polyhedra Network」と「ZK」ティッカーをめぐる対立状態となった。 しかし5月30日、Polyhedra Networkはトークンティッカーを「ZKJ」に変更すると発表。さらに同プロジェクトは同じくゼロ知識証明の研究開発を行うPolygon(ポリゴン)、StarkWare(スタークウェア)と共に、「ZK」は公共財であり続けるべきだという共同声明を出した。 この声明では「これは企業の商標であってはならない。むしろ、すべての人がアクセスできるものでなければならない」と語られている。またさらにPolyhedra Networkらは「zkSync」コミュニティに対し、「マターラボ」による全ての「ZK」の商標申請と「ZK」ティッカーの使用をやめるように呼びかけた。 Polygonの開発を主導するPolygon Labs(ポリゴンラボ)は公式Xにて、「Polygon LabsがPolygon zkEVMを導入したとき、私たちは意図的に商標登録せず、他の人が自由に使用できるようにしました。その結果、Immutable zkEVMとAstar zkEVMはほんの一例ですが、現在では広く採用されています。オープン性はEthereumの基本であり、特に中核となる数学的原理に関しては維持されなければなりません」と、同社の取り組みをもとにマターラボを非難する声明を5月30日に出した。 これをうけマターラボは、今回「ZK」の商標出願を取り下げた。
大津賀新也(幻冬舎 あたらしい経済)