ブレイク前に「夜のヒットスタジオ」で…TUBE春畑道哉と角野秀行が振り返る“洗礼” 90年代に歌謡曲に目覚めたエピソードも
夏うたを真冬にレコーディング、最後は“真の季節感”を求めてハワイへ
そんな激動の’80年代を乗り越え、’90年代には、シングルもフルアルバムも安定して50万枚以上を飛ばすように。Spotify再生回数ランキング第3位と第4位には、「夏を待ちきれなくて」(’93年)と「夏を抱きしめて」(’94年)がランクインした。ともにオリコン1位を獲得し、累計売り上げも「夏を待ちきれなくて」が79.7万枚、「夏を抱きしめて」が93.9万枚とTUBEの中でも1位、2位を占めている。この時期は、どうやって過ごしていたのだろうか。 春畑「多分、このあたりから冬うたを諦めたんじゃないかな(笑)」 角野「‘91年ごろから、春と夏に1枚ずつシングルを出しているんですね。“さあ、夏が来るぞ”という感じのものと、より季節感が強くなったものを。ちなみに、TUBEをやり始めてから、夏はツアー三昧で一切遊んでいません。しかも、夏に向けた作品のレコーディングは、前年末から年明けにかけての真冬。だから最初のころは、旅行会社から南国行きのパンフレットなどをもらってきて、山中湖や三浦半島のスタジオを選んで雰囲気を作っていました。でも、外に出たらもちろん、冬の気候じゃないですか(笑)。だから結局、’90年代になって余裕ができてからは、ハワイでレコーディングするようになりました」
ちなみに、「夏を待ちきれなくて」では初めて紅白歌合戦に選出され、’98年の「きっと どこかで」と合わせて計2回出場している。これだけ長くヒットを飛ばしていて、テレビ出演も多い割に紅白出場が2回とは、意外に少ない。それとは対照的に、有線音楽優秀賞の方は、’90年の「あー夏休み」、’91年の「さよならイエスタデイ」、‘92年の「夏だね」「ガラスのメモリーズ」と3回賞レースに出ていて、こちらはリクエストの多さからもほぼ順当と言える。 角野「もしかすると、デビュー当初からCMのタイアップ曲が多かったために、当時の『紅白』では選ばれづらい立場だったのかもしれませんね。有線放送のほうは、リスナーのみなさんがたくさんリクエストしてくださったおかげで出られていたんでしょうね」 春畑「タイアップは、スタッフさんが頑張って案件をとってきてくれつつも、基本的には自由に曲作りをさせてもらってます。でも、たまに“この歌詞だけは変えてもらえますか”と言われたりすることはありますね」 角野「この32位の『風に揺れるTomorrow』がそうですね」 春畑「オープンカー(ダイハツ『コペン』)のCMソングが決まったので、当初“雨に濡れる”という歌詞だったのを“風に揺れる”に変更したんです。でも、劇場版アニメ『NARUTO』の主題歌(シングル「Ding! Dong! Dang!」)も、前ちゃん(前田亘輝)がコミックを読み、そこからインスピレーションを受けて作詞していましたし、無理に合わせて作ったというものはありませんね」