韓国発『理科ダマン』日本で大ブレイクの「予想外」 原作者と漫画担当の2人に聞いた制作秘話
この家庭では実際に、『理科ダマン』で紹介されている「紙コップでお湯が沸かせるのか」という実験をしたそうだ。 保護者からは、「知識が増えて『俺、ちょっとすごいこと知ってるんだ!』と、うれしそうだ」、「小学生が好きなワードが取り入れられているので、自ら進んで読んでいる」などの声が聞かれた。 『理科ダマン』では、専門的な科学知識は章末のコラムで解説されている。ストーリー内では、概念を簡潔に解説する程度だ。
そのため「コラムまで読まないと、知識が身に付かないのでは」と懸念する保護者もいるかもしれない。 しかし、ギャグ要素を前面に出した構成だからこそ、学習漫画にとって最初の壁となる「子どもたちの心をつかむこと」を難なくクリアできている。 『理科ダマン』を愛読している小学生の母親は、「私も知らないトリビアを話していたので、どこで習ったのか尋ねると、『理科ダマンに載っていた』と言われて驚いた」と話していた。
『理科ダマン』の「面白さ」に魅了された子どもたちは、楽しんで繰り返し読むうちに、大人顔負けの知識を身に付けているようだ。 ナ氏は、「私たち大人だって、難しい説明を読むのは大変ですよね。だから、なるべく絵とストーリーだけで科学の概念を理解できるよう工夫しています。 科学の面白さを知り、興味を持ってもらうことが目的なので、何よりも面白く描こうと努力しています」と話した。 ■日本でウケたのは「予想外」 ナ氏は、韓国のギャグが日本の子どもたちにもウケたことについて、「予想外だった」と話す。
「人が笑うポイントって、その国の文化と関わりが深い。だから、日本の子どもたちに面白さが伝わりにくいかもしれないと思っていたんです。 でも、予想に反して『面白かった』という反応が多くて驚きました。みなさんに楽しく読んでいただけて、本当にうれしいです」 中学受験が過熱している日本でも、「学ぶことに興味を持ってほしい」と子どもに願う保護者は多い。 塾に通ったり、参考書を買い与えるのも一つの方法だが、子どもたちが科学や勉強に興味を持つにあたって、まずは『理科ダマン』の「面白さ」や「楽しさ」が取っ掛かりになってもいいのではないだろうか。
笠井 ゆかり :フリーライター