相続税の「無申告」…バレた場合の恐ろしい3つのペナルティ【税理士が解説】
相続税の申告を怠っていたことが税務署にわかると、最初から正しく申告していればかかるはずのなかった重いペナルティーが課されることになります。それはどれほどのものなのか。税理士が解説します。 【ランキング】都道府県「遺産相続事件率」…1~47位
3つの重いペナルティー
相続税の申告と納税期限は、相続の発生、つまり被相続人の死亡の翌日から10ヵ月以内です。相続税を期限までに申告・納税しなければ、次の3つのペナルティーが課されます。 ・無申告加算税 ・延滞税 ・重加算税 これらのペナルティーはそれぞれ税率が高く、さらに、無申告加算税と延滞税、重加算税と延滞税は、同時に課されます。 1.無申告加算税 無申告加算税は、申告期限までに申告しなかった場合に課されます。 申告期限を過ぎて税務調査の事前通知を受ける前に自主的に申告した場合と、税務調査の事前通知があってから申告した場合、税務調査を受けてから申告した場合で、それぞれ税率が異なります。 相続税の申告期限が令和6年1月1日以降の場合は、納付すべき税額のうち300万円を超える部分について税率が10%加算されるほか、連続した無申告についてペナルティーが強化されます。 無申告加算税の税率は図表1のとおりです。 参考として、申告期限が平成28年以前の場合の無申告加算税の税率をご紹介します(図表2)。 税率は、申告期限を過ぎて税務調査を受ける前に自主的に申告した場合と、税務調査を受けてから申告した場合で区分されていました。
延滞税に重加算税…いつ課税される?
2.延滞税 延滞税は、期限までに納めなかった税金に対して課されます。利子のようなものと考えて差し支えありません。 税率は期間に応じて次のとおり定められており、税額は本来の納付期限の翌日から相続税を納付した日までの日数に応じて計算されます。 申告書の提出日の翌日から2ヵ月以内:年2.4%※ 申告書の提出日の翌日から2ヵ月以後:年8.7%※ ※ 延滞税の税率は令和4年1月1日から令和6年12月31日までの期間のものです。これ以外の期間は税率が異なるので、国税庁ホームページなどで確認してください。 3.重加算税 重加算税は、課税を免れるために財産を隠したり証拠書類を偽装したり、特に悪質な場合に課税されます。 無申告でかつ、財産を隠したり証拠書類を偽装したりした場合は、無申告加算税に代えて相続税額の40%の重加算税が課税されます。 なお、次のいずれかにあてはまる場合は、税率が10%加算され50%となります。 ・申告期限が平成29年1月1日以降で、過去5年以内に相続税で無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合 ・申告期限が令和6年1月1日以降で、前年度及び前々年度の国税に無申告加算税・重加算税が課され、さらに同じ税目で無申告があった場合