金沢学院大付、大会初勝利 キャプテンマークをPK戦途中から託されたGK石山アレックス「被災地に勇気を」サッカー全国高校選手権
◇29日 サッカー 第103回全国高校選手権1回戦 金沢学院大付(石川)0―0(PK4―3)鹿児島城西=U等々力 初出場の金沢学院大付は8大会ぶり8度目の出場となる鹿児島城西に0―0で突入したPK戦を4―3で制し、創部32年目で全国選手権大会初勝利を飾った。31日の2回戦で帝京(東京B)と対戦する。 ともに3人ずつが成功させたPK戦で迎えた4人目。先行の金沢学院大付は主将の山下聖真(3年)が相手GKに止められた。 「信じている。頼む」。ゴールマウスに立つ前、失意で涙が止まらない主将からイレブンの思いを込めたキャプテンマークを託されたGK石山アレックス(2年)が奮起した。 「自分がチームを勝たせる。3年生をまだ引退させない」。そう自分に言い聞かせ、コーチからの情報を基に相手のコースを読み、183センチ、78キロの体を右に飛ばして止めた。続く5人目は先に味方が決めてリードすると、相手のシュートがバーを直撃。勝利を決め、2年生守護神は歓喜の輪の中心で拳を突き上げた。 ”地の利”も味方につけた。初戦の舞台となったU等々力をホームとするJ1川崎の下部組織出身。「何回かプレーしたこともあるし、緊張感なく試合に入れた」。カナダ人の父を持つ17歳はミスのない落ち着いたプレーで、12本のシュートを浴びながら、ゴールを許すことはなかった。 川崎の代名詞でもあるパスサッカーを実践していることから金沢学院大付に進学した。この日も高校年代最高峰の高円宮杯U―18プレミアリーグに参戦する相手を向こうに回し、チームはダイレクトパスを連続でつなぐ足技で特に前半は何度も好機を生み出した。 国立競技場であった28日の開会式ではイレブンが「がんばろう能登」の横断幕を携えて行進した。元日に発生した震災への思いを巡らせつつ「被災地に勇気を届けるというのは、もちろん選手全員の頭にはあったと思う。こういう結果で石川県を元気づけられたらいい」とうなずいた。
中日スポーツ