「9時に銀座だからストライク放れ」豊田泰光氏が石を投げてきた!“ヤクルトの大エース”松岡弘氏が語る個性派チームメイトとライバルバッターたち
田淵幸一氏はカモ!?
徳光: その快速球で対戦した他球団のバッターで印象に残ってる人っていますかね。 松岡: 良かったのは阪神の藤田平。 徳光: 打たれたってことですか。 松岡: 打たれた。あの人はボールを振らない。選球眼がすごくいいんで、うまく打たれる。 徳光: 田淵幸一さんとか山本浩二さんとか、そうそうたるバッターがいましたよね。 松岡: 田淵さんは、あまり言えないですけど好きなバッター。穴が多い。 徳光: お得意さんですか。 松岡: そんな滅相もない。でも、やりやすかった(笑)。 松岡氏の田淵幸一氏との通算対戦打率は2割6分6厘、ホームランは4本しか打たれていない。一方、山本浩二氏との通算対戦打率は3割1分0厘、ホームランを15本も打たれている。 松岡: 田淵さんの場合は、ここへ投げてればっていうのがあった。 山本浩二さんは、特に「赤ヘル旋風」のときがすごかった。僕はそんなに球種がないから、ヤマをかけられる。あの人はすごく頭が良くて、この球種が来るって読んでくる。それに当てはまるようなピッチングを私がしてあげた(笑)。 徳光: そうですか。 松岡: でも、三振も34ある。これはヤマが外れてるんですよね。だから多い。
生涯最高の一球
松岡: 日本シリーズ第7戦で投げたとき、9回表ツーアウト・ランナーなしのときの外への1球目。それはもう生涯忘れない真っすぐだったですね。思ったように体が動いて、思ったようにボールにスピンがかかって、キャッチャーの大矢(明彦)が構えたままのところにボールが行って、大矢も「んー!」ってうなった。あの快感はもう…。 徳光: その速球こそ、自分の最高のボールっていうことですね。 松岡: そうです。一番、思い出のある1球ですね。 徳光: その1球が4球投げられれば、大谷選手から三振が取れますかね。 松岡: 取れます。絶対取ってる。同じところに同じボールが4球投げられれば。 徳光: 大谷選手を「抑えられる」って言っていただけるのは初めてです。これは責任持ってくださいよ。 松岡: 今、絶対に対戦できないから、いくらでも言えますよ(笑)。 徳光: 松岡さんは、メジャーに行きたいと思ってましたか。 松岡: あの頃は全くない。力の差が歴然としてあったから。 徳光: でも、今はずいぶん接近してますよね。 松岡: 今、40年前の力があったら僕は行きますよ。行きたいです。行って勝負したい。そういう気はありますね。 (BSフジ「プロ野球レジェン堂」 24/6/18より)
プロ野球レジェン堂
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