400km走って「月6000円ゲット」 高い?安い? あなたの車を広告媒体に変える新しい副収入法とは
課題と展望
マイカー広告は、低コストで地域密着型の広告として、アフターコロナの日本をけん引する新しい広告手法として注目されている。しかし、この広告モデルにもいくつかの課題が存在する。 まず、 ・広告内容に対する規制 ・景観への影響 ・個人情報の漏えい といった問題が挙げられる。また、ドライバーの運転マナーが広告主のブランドイメージに影響を与えるリスクもある。例えば、あおり運転をするドライバーが企業広告を掲示している場合、企業のイメージに悪影響を与える可能性がある。 さらに、広告の視認性は地域や走行距離に依存するため、広告効果が一定の範囲に限定されてしまう。また、 ・性別 ・年齢 ・職業 などのターゲティングが難しく、広告の効果を最大化するためには工夫が必要だ。日本ではまだマイカー広告の認知度が低く、広告主も少ないため、この点も課題となる。また、広告ステッカーのデザイン性に関する問題も解決すべき課題だ。 一方で、米国のFireFly社はライドシェアやタクシーにデジタルサイネージを取り付け、位置情報に基づいた広告を配信する事業を展開しており、Google系企業などが出資している。このデジタルサイネージ広告は、特に大都市圏で拡大している。 広告主はマイカー広告の弱点を逆手に取り、ターゲットを絞った地域密着型広告を展開している。地方自治体や中小企業などがこの手法を積極的に活用しており、AI技術を活用して広告効果の可視化やドライバーが広告閲覧数の高いエリアを選んで走行できる仕組みが進化している。
デジタル連携で加速する広告効果
今後、マイカー広告は電気自動車(EV)や自動運転車の普及を追い風に、さらに発展が期待されている。 AI技術の進化により、走行データをリアルタイムで広告に反映させることも現実味を帯びてきている。日本の広告市場は、今後もデジタル広告との連携を中心に成長が予想されている。 しかし、マイカー広告に限らず、新たな広告手法が登場するたびに、規制の明確化や広告内容の透明性を確保するための新しい枠組みが求められることになるだろう。 2024年3月には、東京都が都外ナンバーの広告宣伝車に都条例を適用する改正を行った。この改正が即座にマイカー広告の規制につながるわけではないが、広告の増加に伴い、今後規制の対象となる可能性は否定できない。
マイカー広告が開く地域経済の未来
政府や自治体が美観や広告の質に配慮するのは理解できるが、地方創生や交通活性化の観点からもマイカー広告の重要性は無視できない。 企業は、政府や自治体の指導のもとで責任ある広告内容を提供し、消費者との共存を意識することが求められる。 マイカー広告は、新たな広告手法として市場に新しい可能性を提供している。その発展には法整備やAI技術の進化が必要で、これらの課題をクリアすれば、マイカー広告は地域経済を支える重要な役割を果たすだろう。 既存メディアが低迷するなかで、個人や企業に利益をもたらすマイカー広告の可能性には今後大きな期待が寄せられている。
喜多崇由(フリーライター)