苦境の鎌田大地「こういうサッカーは仕方ない」 恩師のスタイルがまさかの一変…それでも「いい選手に」【現地発コラム】
1年半後のW杯へ「少しでも良い選手になって臨めるように」
チェルシーのトップ下から頻繁に落ちてきては、相手3人目のMFとなるコール・パルマーには、チームとして最終ラインと中盤の間のスペースを突かれてしまった感がある。先制ゴールを決めてもいる敵のキーマンには、鎌田自身も、プレッシャーをかけ切れずにアシストをこなされそうになる場面があった。 「自分でボールを奪い切るところだったり、守備の部分ではもっと成長できると思う。良い選手もたくさんいるプレミアリーグでは、プラスにできるとこもたくさんあると思うので、そこをしっかりやっていけたらいい。 あと1年半後ですかね、自分はワールドカップというのを、この間(22年)の大会が終わってから一番に考えてやってきている。そこで良いパフォーマンスができるように、チーム(クラブ)でしっかり良いプレーをしないといけない。こういう難しい環境の中でも成長できると思うので、少しでも良い選手になって、そこに臨めるようにやっていけたらいいなと思います」 2025年の初戦が終わると、ピッチ上の鎌田は、しばし両手を腰に当てて佇んでいた。上位戦では引分けに納得しなければならない現状のパレスは、リーグ戦20試合を消化して勝ち点「21」の20チーム中15位。しかし、己の頭は下を向いてなどいなかった。心に期するは、チームの浮上と自らのレベルアップ。攻守万能新戦力のプレミア挑戦1年目も、後半戦が始まった。 [著者プロフィール] 山中 忍(やまなか・しのぶ)/1966年生まれ。青山学院大学卒。94年に渡欧し、駐在員からフリーライターに。第二の故郷である西ロンドンのチェルシーをはじめ、サッカーの母国における関心事を、自らの言葉や訳文として綴る。英国スポーツ記者協会およびフットボールライター協会会員。著書に『川口能活 証』(文藝春秋)、『勝ち続ける男モウリーニョ』(カンゼン)、訳書に『夢と失望のスリーライオンズ』(ソル・メディア)など。
山中 忍 / Shinobu Yamanaka