苦境の鎌田大地「こういうサッカーは仕方ない」 恩師のスタイルがまさかの一変…それでも「いい選手に」【現地発コラム】
勝ち点を積み重ねなければいけない中でのもどかしい状況
「自分のキャリアで、ポゼッションができないチームではやってきていない。今、それが凄くロングボールの多いチームになって。今まで、ボランチをしていたチームでは、ボールのポゼッションができて、上手く前の選手と入れ替わりながらボックスに入って点を取れたりした。それを今年(今季)もある程度想像しながらやっていたんですけど、この状況ではかなり難しいものになっていると思うし、今、こういうサッカーをしているのは仕方がない。勝ち点は結構、それでも稼げているので」 そう心中を語る鎌田は、次のように試合を振り返っていたこともある。昨年9月、2ボランチの一角で先発したカップ戦勝利後だった。 「キーパーがしっかりボランチにつけて、僕からエブス(エベレチ・エゼ)っていう、チームとして狙っていたことがしっかりできて、そのまま点につながった。点が入ったのも良かったですし、その過程が凄く良かった」 以降、パレスは最も重要なリーグ戦で4勝しかできていない。そのため、結果を優先すべく、後方に意識と頭数を割かざるを得ない試合が続くようになっている。基本システムこそ同じだが、内容的には、鎌田がフランクフルト時代から知る「グラスナー下のサッカー」とは別物だ。 途中出場の今回は、守備的MFシェイク・ドゥクレとの交代。記者席の前列にいたラジオ実況担当は、「攻撃オプション追加」と説明していた。確かに、果敢なプレッシングでチームにエネルギーを加えてはいたが、実際はボランチの入れ替えといったところだった。 チャンスに絡むかに思われたのは、後半44分の1シーンぐらい。タイミング良く裏へ抜けようと動き出したが、味方からのパスがやや後方に出る格好となり、必死に後ろ足を伸ばしてもコントロールはできずに攻守が入れ替わった。 ただし、その直前には自らのミスパス後のルーズボールを、五分五分の競り合いでものにして帳尻を合わせていた。中盤中央に投入された鎌田は、相手2ボランチのうち高めの位置を取るエンソ・フェルナンデスを注視しつつ、精力的に広範囲をカバーしていた。 素早くE・フェルナデスとの距離を詰め、敵の攻撃展開にブレーキをかける姿は度々見られた。後半アディショナルタイムに、タッチライン際でフリーキックを与えたファウルにしても、勝ち越しを狙う相手に再び押され気味だった自軍に、息つく暇を与える“防御”となった。