ダメな親ほど「子供に失敗をさせたくない」と言う…東大生に聞いてわかった"頭のいい子が育つ家庭"の共通点
■目標が高ければ“努力の質”が変わる 「失敗をさせない指導」をすることは実はかなり簡単で、目標を下げればいいのです。目標が低ければ失敗することもありません。つまり、「失敗させたくない」というのは、「目標を低くさせたい」ということと同義なのです。 しかし、そんな指導で本当にいいんでしょうか? 「定期テストで10番以内になりたい」という生徒に、「10番以内はきついだろうから、君の成績だったら20番くらいにしておいたら?」と言い続けることは、はたして本当に生徒のためになるのでしょうか? もちろん、短期的にはそっちの方が成功体験をつむことができるのでプラスになる場合もあるでしょうが、それを繰り返し続けると、「成長」するチャンスを奪ってしまうことになります。 「20番でいいや」と考えると、20番くらいになるための努力しかしません。でも、「10番になりたい」と考えると、10番になるための努力をすることになります。成長という観点で言えば、「成功しそうな20番」という目標より、「失敗しそうな10番」という目標の方が、努力量も努力の質も変わってくるのです。 受験に関しても同じことが言えます。例えば、受験業界でよく言われることとして、「現役生は、大学入試真っ最中が一番成績が上がる」という言説があります。 いろんな大学を受験して、うまく行ったり失敗したりして、合格したり不合格になったりする中でこそ、一番成績が上がりやすいという話です。実際東大生でも、私大が全滅なのに最後の東大入試だけ合格した、という人だっています。第二志望以下の大学に不合格になったことを糧にして、第一志望の合格を手にしたというわけです。 ■東大生の親は積極的に“失敗”させている このように、人間は挑戦している時が一番「伸びる」のです。 東大生の親は、この違いをよく理解していることが多いです。東大生に「親からどのような育て方をされたのか」についてアンケートを採ると、以下のような声がありました。 ---------- ・「勉強以外のことも含めて、勝負事には勝てと言われて育った。受験が近づいてきて、部活に身が入らなくなっていた時も、『もっと真剣に部活もやれ、次の大会も頑張れ』と言われたのを覚えている」(理2 1年) ・「『1番を目指せ』というのはよく言われていた。まだそんなに勉強ができなくて、いい順位じゃない時にも、『1番を目指せ』と言われ続けていた。プレッシャーを与えられたわけじゃないけれど、『やるからにはなんでも、1番を目指すといいよ』と言われて育った。」(理1 2年) ---------- 低い目標で満足させるのではなく、むしろ「失敗してもいいから高い目標を持たせるような育て方をされていた東大生」が多いことがわかるでしょうか。 この他の東大生に聞いても、「テストのたびに目標点数を書いていた」とか「運動会とかでかなり本気で応援された」とか、些細なことでも挑戦を意識させるような指導をされていたという場合が多いです。 「失敗させない指導」ではなく、むしろ勉強以外の面も含めて「積極的に失敗させる指導」をされて育っていることが多いわけです。そしてその延長線上で、「東大を受験しよう」という気持ちが湧いているのだと思います。多くの人にとって、東大というのは決して「行ける大学」ではありません。「行けるなら行きたいとは思うけれど、リスクが高い大学」だと考える人が多いでしょう。「不合格になるかもしれない大学」なわけです。