ロシア・ウクライナ戦争:戦局の転換――第二次ハルキウ反攻はなぜ成功したか
地面が凍結する冬季にはまた戦況が動く可能性がある(部隊がリマンに入ったと述べるゼレンスキー大統領、ウクライナ政府公式配信動画より)
今年2月の開戦以来、 ウクライナ では激戦が繰り広げられている。4月下旬から5月中旬に展開した東部の ドンバス(ルハンシク州、ドネツク州)会戦 では、ウクライナがロシア軍の突破を食い止めた。それからロシアは火力重視の戦い方を徹底するとともに、攻勢をルハンシク州に集中し、セベロドネツクを陥落させた。引き続いて全体の戦局が膠着する中、8月末にウクライナが南部ヘルソン州で反攻を開始。南部戦線に世界中の関心が向かう中、ウクライナは意表を突く形で、9月上旬に北部ハルキウから電撃的な反攻を仕掛けた。ロシア軍が潰走状態となって撤退したこともあり、ウクライナはハルキウ州のほぼすべてを奪回。開戦後最大のウクライナの反攻作戦の成功となった。この劇的な反攻作戦はなぜ成功したのか。そして今後にどのような影響を与えるのか。 ロシアが3月末に首都キーウ周辺から撤収して以来、ウクライナ側が単に守備を固めるだけでなく、ロシアを押し戻そうとするならば、2つの反攻の可能性があった。
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高橋杉雄