フルモデルチェンジのBMW1シリーズは、キドニーグリルに斜めのラインが!「i」がなくなった理由は?
BMWのエントリーモデルである1シリーズがフルモデルチェンジを受けた。プラットフォームは先代からの流用で、サイズがわずかに変わったものの、パッケージング面などに大きな変更はなく、モダンになった内外装やベースグレードの48Vマイルドハイブリッド化などがトピックス。そのほか、ハンズオフ機能付渋滞運転支援機能をはじめとした先進安全装備、BMW初のサブスクである「BMWデジタルプレミアム」で「U-NEXT」の視聴が可能になるなど、多彩なサービスを用意している。 【写真を見る】キドニーグリルに斜めのラインを入れて上品さを演出 TEXT&PHOTO:塚田勝弘(TSUKADA Katsuhiro) モデルライフが短くなっている1シリーズ BMW1シリーズは、初代のFRである「E87」型は、約6年間で100万台を売上げ、2代目もFRを踏襲した。先代の「F40」型になりFF化されたが、従来型(先代)も輸入車の年間ランキングにおいてほぼ上位にランクインするという人気モデルになっているという。初代は約7年、今でも根強い人気を誇る2代目は約8年、3代目は約5年と、3代目は時代の流れと逆行するようにモデルライフが短くなっている。 なお、ビー・エム・ダブリューの長谷川 正敏社長は、年々、技術進化が加速し、ユーザーニーズのレベルが高まっていることもあり、それに対応する必要があると説明。具体的には、エクステリアデザインの一新、マイルドハイブリッドがガソリンエンジン車に初採用になり、力強い走りが得られた点などを付け加えた。 続いてBMWブランド・マネジメント・ディビジョンのプロダクト・マネージャーのケビン・プリュボ氏が車両のプレゼンテーションを行い、今回の新型1シリーズから車名の末尾から「i」を取ったと説明。「i」は元々、フューエルインジェクションから取られていて、50年近くに渡り、ガソリンエンジン車であることを示してきた。しかし、2014年に導入されたEVのi3以降、EV(i8はプラグインハイブリッド)にも「i」が使われている。今後は、EVのみに「i」が使われることになるという。 新型1シリーズのボディサイズは、全長4370×全幅1800×全高1450mmで、先代よりも15mm長くなり(グレードにより異なる)、全幅は同値。全高は15mm低くなった。サイズの拡大は、バンパーなどデザインが一新されたためで、パッケージングや居住性、積載性は基本的に先代と大きく変わらない。全幅も日本の駐車場事情などに配慮し、1800mmを死守している。 キドニーグリルに斜めのラインを入れて上品さを演出 エクステリアでとくに変わった印象を受けるのがフロントマスク。ヘッドライトは、BMW伝統の丸目4灯ヘッドライトが再定義されたもので、キドニーグリルはより低い位置に配置された。キドニーグリルは、「120」と「120 M Sport」は、垂直方向に加え、コンセプトカーの「ビジョン・ノイエ・クラッセ」を想起させる斜めのラインが初めて配置され、セグメントを超えた上品さを演出したという。最上級の「M135 xDrive」は、ブラックで縁取りされたフレームに、新世代の「BMW M」を象徴する水平方向のバーと「M」のバッジが用意されている。リヤビューは、立体的で造形のLEDリヤコンビネーションライト、水平方向のプレスライン、バンパー下部のブラックのアクセントがスポーティ感を醸し出している。 「M135 xDrive」には、専用キドニーグリルのほか、エアロダイナミクスが最適化された専用ミラーキャップ、リヤスポイラーや4本のエキゾーストテールパイプなどの多くの装備が追加される。 ホイールは5タイプが設定された。「120」は17インチが標準で、オプションで18インチも選択できる。「120 M Sport」、「M135 xDrive」は、18インチが標準で19インチも選べる。「M135 xDrive」には、専用デザインのホイールも設定されている。 最新の「BMWカーブドディスプレイ」やシフトレバーレスを採用 BMW最新のコクピットが目を惹くインテリアは、メーターパネルとコントロールディスプレイを一体化させて大型化。運転席側に傾けることで視認性を高め、タッチ操作による操作性を高めたBMWカーブドディスプレイのほかに、シフトレバーが廃止され、センターアームレストに操作系が集中配置されている。そのほか、多数のインテリアカラーが用意されているのが見どころのひとつとなっている。 ラゲッジスペースは、48Vマイルドハイブリッド化された「120」と「120 M Sport」は、駆動用バッテリーの搭載により床下収納スペースが小さくなっている(ラゲッジボードから上は変わっていないという)。後席は40対20対40の分割可倒で、「M135i xDrive」は380L、最大時は1200Lにまで拡大するという。 搭載されるパワートレーンは、「120」系が最高出力115kW/240Nmの1.5L直列3気筒BMWガソリンターボで、7速デュアルクラッチトランスミッション、48Vマイルドハイブリッドシステムが組み合わされた。システムトータル最高出力170ps(125kW)、システムトータル最大トルクは280Nmで、力強く、高効率な走りが期待できる。 純ガソリンエンジン車になる「M135 xDrive」は、最高出力300ps(221kW)、最大トルク400Nmの2.0L直列4気筒BMWガソリンターボを搭載。トランスミッションは7速デュアルクラッチで、駆動方式はその名のとおり4WDとなっている。 自動駐車機能やBMW初のサブスクサービスにも対応 そのほか、ハンズオフ機能付渋滞運転支援機能、ルートを最大50mまで記憶する「パーキングアシスタント」の標準化、「パーキングアシスタントプロフェッショナル」のオプションも初めて設定された。後者は、自宅の駐車スペースなどを登録しておけば、駐車スペースを自動で検知し、自動で操舵、アクセル、ブレーキ、ギヤの操作を行ってくれる。納車後にオンラインストアで購入すれば、スマホ・アプリを使って狭い場所での自動駐車にも対応する。 BMW初のサブスク・サービスである「BMWデジタルプレミアム」を購入すれば、オンラインマップで常に最新地図が使えるのをはじめ、動画や音楽、ゲームなどのコンテンツを通信料無料で使える「サードパーティアプリストア」も利用できる。日本では「U-NEXT」にも対応している。 価格は「BMW 120」が478万円、「BMW 120 M Sport」が498万円、「BMW M135 xDrive」が698万円となっている。
塚田 勝弘