NSXは1500万円の中古車も クルマを買って得する方法はある?
プレミアムが付くかは見分けられる?
つまり、後に人気が出て確実にプレミアムが付く新車を狙い撃ちして買う方法は事実上無いということだ。為替商品や商品相場と同様、基本はハイリスクハイリターン。一定の予測はできるのかも知れないが損する場合もある。相場で動くものの原則通りだと言える。 ハイリスクハイリターンと言えば、原則的には中古車もそうだ。一台一台のコンディションが違い、値付けと価値の関係を見極めるのが難しい。実は売っている側だっておおよその見当はつけているものの完全にクルマの状態を把握しているわけではない。完全バラシを行ってチェックでもしない限り、詳細な状態把握はできないからだ。そして完全バラシのチェックと整備をしたら新車より高くなってしまう。だから中古車を中古車なりの価格で売るためには、ある程度は運不運になることは仕方が無い。良心的な店ならそこに保証をつけて万一の場合は整備を保証するわけだ。 中古車は良くも悪くも損得のあり得る商品なのだ。一方、中古車と違って、新車はメーカーが工業製品としてほぼ均質に作り、メーカーの付けた値段で売られ、手厚い保証もある。だから新車の買値そのものには損も得もないのだ。 だから長く乗るつもりなら中古車で変なギャンブルをするより、価値が明確で補償の基準もしっかりした新車を買うことは大きなリスクヘッジになる。得は出来ないかもしれないが損をしないことの意味は大きい。新車で買って10年以上乗ることは絶対に損をしないクルマの買い方だと言える。 しかし例外も無いわけではない。新車の価値は一定とはいうものの、極端な不人気車の場合、在庫調整のために新車の大幅値引きが行われる場合がある。もちろん在庫整理だけが理由では無い。例えばジャガー・ランドローバーは2011年に1300万円から1500万円クラスのレンジローバーを150万円程度値下げした。'90年代には300万円も下げたことがあるくらいでこうした値下げは、タイミングが悪いと資産価値を直撃しかねない。新車の実勢価格が値下がれば中古相場のスタートラインも下がるから、値下げ前に買った人はその分だけ「資産価値」が下がってしまうのだ。 しかし、普通のクルマは10年経てば市場価格はゼロかゼロに近いので、資産価値もへったくれもない。つまり10年乗るということは、新車の価値の全てを自分ひとりで消費し尽くすということなり、相場がどんなに崩壊しようと損のしようが無いのだ。 ところが、数年で乗り換えるつもりだった人には、新車で買ったクルマの相場価格が下落したとすると、困ったことになる。だから乗り換え派にとっても新車を買う損得を決定するのは結局中古車の相場なのだ。損も得も全て中古相場で決まるのである。