三菱自動車、燃費不正会見(5月18日、全文1)国交省への追加報告書について
燃費データ不正問題で、三菱自動車は18日午後5時半から、記者会見を行った。会見は国土交通省に再調査の報告を行なった後、行われた。益子修会長、相川哲郎社長、中尾龍吾副社長が出席した。 【ライブ中継】燃費データ不正で三菱自動車が午後5時半から記者会見
国交省への追加報告書について
男性:それではよろしくお願いいたします。 相川:それでは当社製車両の燃費試験における不正行為に関わる国土交通省さまへのご報告内容についてご説明いたします。 当社製車両の燃費試験における不正行為に関しまして、4月20日に国土交通省さまより受けた調査指示につき、本日、報告書を追加提出いたしましたので、概略につき下記のとおりご報告いたします。本件に関し、お客さまはじめ、多数の皆さまにご迷惑、ご心配をお掛けしておりますことを、あらためて深くおわび申し上げます。 本報告は先ほど国土交通省さまにご報告した内容でございます。 1番、軽自動車4車種、eKワゴン、eKスペース、デイズ、デイズ ルークスの調査状況でございますが、片括弧1番はすでにご報告しておりますので、片括弧2番からご説明いたします。 不正事案発生の背景でございます。マル1、本プロジェクトは日産自動車との合弁事業で重要なプロジェクトの位置付けでございました。2、本プロジェクトは燃費競争の厳しい軽自動車市場において、他社新型車に対抗するため、クラストップの低燃費を目指すことを開発目標として掲げておりました。3、性能実験部、以下、性実部と略称いたします、が、職制細則で規定された業務範囲を超えた燃費目標の取りまとめ業務を恒常的に行っておりました。燃費目標を含む目標スペックの設定と達成は本来、商品開発プロジェクトの業務と規定されております。マル4、また、燃費目標の取りまとめ実務の一部は性実部経由で三菱自動車エンジニアリング株式会社、当社100%子会社、以下、子会社と略称いたします。に、丸投げの状態で委託しておりました。
不正事案発生の原因など
片括弧3、不正事案発生の原因でございます。ヒアリング調査の結果、上記経緯と併せ、以下の原因が推定されます。マル1、性実部長および性実管理職は燃費目標達成の難しさを認識していたにもかかわらず、燃費目標達成業務を子会社に丸投げの状態で、子会社管理職からの相談、報告があった場合しか対応しておりませんでした。さらに子会社からの報告内容の検証をすることもなく、最終設計品質会議等で報告しており、業務責任を果たしていませんでした。 また、プロダクト・エクゼクティブ、以下、PX、および開発プロジェクト・マネージャー、以下、開発PMも走行抵抗の詳しい確認をせず、燃費値の測定結果報告を受けることに終始しておりました。 マル2、子会社管理職は当初から計画していたタイでの走行抵抗測定を実施すれば、過去の車両の走行抵抗から机上計算した走行抵抗、推定値でございますが、これ並みの走行抵抗が測定されるものと考えていました。また、性実部長と性実管理職はタイでの走行抵抗前にたくさんの良い、抵抗値の低いデータを法で定められた惰行法にて取ってくるように子会社管理職に指示しました。これは正規の惰行法にて測定したデータであれば、中央値を取らなければならないという社内ルールはないとの認識によるものでした。 しかしながら、子会社管理職は高速惰行法にて測定し、結果的には測定したデータの中央値では、これまで使用してきた推定値を得ることができませんでした。子会社管理職は不適切な低い値のデータを使って机上計算した走行抵抗推定値よりもさらに低い走行抵抗を作成し、性実管理職に提示しました。性実管理職は提示された走行抵抗を確認し、正規の惰行法ではなく、高速惰行法のデータであることを知りました。高速惰行法はばらつきの大きい試験であり、低い値を取ることは不適切と考えましたが、再試験する時間もなく、子会社管理職の作成したデータを承認しました。なお、子会社管理職は正規の惰行法での測定経験はありませんでした。 4、競合車との競争に勝つため、経営陣からの強い燃費向上の期待を背景として、開発PMからの燃費目標必達の要請と社内会議体での開発本部長、PXからの燃費向上の要請を必達目標と感じていたこと。審査車ができてからでは限られたリソースで試験日程が組めなかったことなどを子会社管理職は申告しております。 マル5、燃費取りまとめの業務が性実部内で完結し、外部からのチェックが十分に及ばなかったこと、当社の開発の各ゲートにてリスクを顕在化させ、是正することができなかったことなど、業務管理、プロセスの問題もございました。 2番、軽自動車4車種以外の現行販売車の調査結果でございます。マル1、走行抵抗測定は、ミラージュ、アウトランダーPHEV、デリカD:5、ディーゼル車以外の車種は高速惰行法で実施していました。マル2、法に定められた成績書を作成する際、試験日、天候、気圧、温度等を事実と異なる記載をしておりました。マル3、RVRは走行抵抗を実測せず、不正に操作された多車種のデータから机上計算されておりました。マル4、パジェロガソリン車では、過去の測定データの中から転がり抵抗と空気抵抗を別の車の低い値を恣意的に組み合わせて使用しました。マル5、アウトランダーPEHV、デリカD:5、RVR、パジェロにつきましては、重量補正、CVTの改良補正、タイヤの改良補正など、過去の試験結果などを基に机上計算を実施しておりました。 マル6、法に定められた惰行法にて走行抵抗を測定し、社内試験で確認した結果、諸元値に対しプラスマイナス3%程度のばらつきがございました。 3番、走行抵抗の試験法でございます。道路運送車両法で定められた惰行法と異なる当社が使用していた高速惰行法の使用の経緯や理由につきまして、以下のとおりでございます。(1)高速惰行法使用の経緯。マル1、1991年に排出ガス・燃費測定モードが10モードから、10・15モードに見直され、併せて走行抵抗測定法が吸気マニホールド内圧力測定法、ブースト法から現在の惰行法に見直されました。その際に当社では、惰行法ではなく、1978年から米国向け車両に適用していたコーストダウン法をベースにした高速惰行法を、国内向けに使用しました。2、正規の惰行法では負荷設定記録に惰行時間、および平均惰行時間を記載する必要があるため、1992年1月時点で高速惰行法で測定した走行抵抗から、惰行時間を算出する計算法のマニュアルが存在していました。3、2001年1月には惰行法と高速惰行法の設定法による走行抵抗の改良、確認するため1車種で試験が実施され、最大2.3%の乖離でした。4、2007年2月に試験マニュアル、走行抵抗測定試験方法の改定で、仕向け地ごとの試験法を示す付表を追加しました。付表には「DOMはTRAIAS」と記載されておりました。DOMとは日本国内向け、TRAIASとは道路運送車両法で定める惰行法のことでございます。 (2)高速惰行法使用の理由でございます。1991年に道路運送車両法で定められた惰行法と異なる高速惰行法を使用した理由については、退職者を含め当時の担当者からのヒアリングを行いましたが、明確な回答を得られませんでした。正規の惰行法に戻す機会が複数回あったにも関わらず高速惰行法を継続していたことに関しては、2001年に実施した正規の惰行法と高速惰行法のかい離が最大2.3%であった試験結果を根拠に、惰行法の使用を見送っていたと推測しております。 4番、排出ガス・燃費以外の認証試験についてでございます。国土交通省の型式指定審査に利用いただいている自動車メーカーから提出する、以下のマル1からマル7のデータ、7件につきまして軽自動車4車種およびその他の現行販売車種9車種の状況を点検いたしました。今回の問題を発生させました、マル1排出ガス・燃費試験、詳細は下の欄外に書いております。の、軽自動車4車種は国土交通省にて走行抵抗を測定いただき、また、現行販売車9車種は、正規の惰行法で再測定し、裏付けとなる技術根拠も含め、問題なことを確認いたしました。マル7、ブレーキ試験(電気的な連結装置)については、当社では採用しておりません。 残りの下記、マル2からマル6の5件は、提出データとその裏付けとなる技術根拠を含め、問題ないことを確認いたしました。(※判別できず)以下は省略いたします。問題ございませんでした。