選択的夫婦別姓の実現へ 超党派の女性国会議員らが勉強会
希望すれば結婚後も夫婦それぞれがこれまでの名字でいられる「選択的夫婦別姓」制度をめぐり、超党派の女性国会議員らによる勉強会が4日、東京都内で行われた。参加した各党の議員らは率直な意見交換を行い、今後の制度導入に向けた民法改正案提出や国会審議に備え、引き続き連携していくことを確認した。 【図解でわかる】夫婦別姓、各党の考えは 勉強会は与野党8党の女性議員が参加し、さまざまなテーマで毎月実施しているもの。この日は選択的夫婦別姓が大きな政治課題となっていることを踏まえ、各党で実現に向けて働きかけをしようとテーマに選んだ。 選択的夫婦別姓をめぐっては、法相の諮問機関・法制審議会が1996年に制度導入を答申したが、自民党内で伝統的な家族観をより重視する議員らが「家族の絆が壊れる」などと反対してきたことなどもあり、現在に至るまで実現してこなかった。 しかし、衆院選で自民は大敗。国会の勢力図は塗り変わった。これまで野党が所管の委員会に法案を提出してきたが、議論が進展することはなかった。今後は野党がまとまれば議論を主導することができる可能性が出てきた。 自民内で制度導入に賛成の立場を取り続けてきた野田聖子元総務相は政治状況の変化を受け「これまでできなかったことを、足を引っ張り合うことなくやっていきたい」と述べ、制度導入に向け、党内の合意形成に力を尽くす考えを示した。 野田氏によると、最近党内で反対理由として聞かれるのは、制度導入により「戸籍制度がなくなる」「女系天皇につながる」といった誤った主張だという。「反対するのは、あまり勉強をされていない人だ」との見方を示した。 立憲民主党の辻元清美参院議員は、制度を導入しない代わりに政府が進めている「旧姓の通称使用の拡大」に関連し、「旧姓の通称使用をしている霞が関の女性官僚も困っていると聞く。政府の問題としても取り上げるべきだ」と訴えかけた。 国際交渉などの業務において名字が理由で支障が生じている事例を紹介し、「皆で力を合わせて実現しましょう」と呼びかけた。 勉強会には、選択的夫婦別姓の実現を求めて活動する一般社団法人「あすには」の井田奈穂代表理事のほか、政府に早期導入を求める提言をした経団連など経済団体の代表者らもゲストとして参加した。 ゲストからは、旧姓の通称使用の拡大が当事者の人権やビジネス上の問題解決につながっていないとの意見が出された。【町野幸】