大谷翔平は”日本人対決”が苦手…?今シーズンの対戦データで見えたものとは【コラム】
“一流メジャー対決“はデータを駆使したハイレベルな戦いに
もう1つ、今永投手が打ち取ったコースのうち3球中2球は外角高めのストライクコースだったことが言える。このコースに関する今永投手、大谷選手の成績は図のようになっている。対左打者、対左投手に限った成績も加えてみた。 今永投手が左打者に対し外角高めのストライクに投げた時は、被安打率が1割5分程度で長打を打たれていなかったことが分かる(ハードヒットやバレルになる割合が高いのは不思議ではあるが)。 右打者を合わせてもこのコースの被打率は2割に満たない(右打者目線では内角高めになる)ことから、今永投手の生命線となるコースだ。 一方、大谷選手は、左投手が投げる外角高めのコースに対してまずまずの数字は残しているのだが、ストライクコースの中では数字が高い方ではない。 以上を振り返ると、今永投手の配球は、大谷選手の今季の特徴を踏まえ、長打をできるだけ打たれないことも考えながら編み出したものと言える。 球種はデータから大谷選手が明らかに今季苦手にしているスウィーパーを中心とする一方で、コースは本人が打者を打ち取る生命線となっている外角高めを活かした。 対する大谷選手も今永投手の外角高めへの配球は想定したように思う。第1打席、第3打席は、若いカウントで外角高めに来たボールを積極的に打ちに行っている。 ここにストライクが来ると待っていたかの感じだ。結果、第1打席はやや力が入ったのかショートフライになったが、第3打席は外野深くまで角度のある打球が飛んだ。 なお、第2打席は、真ん中の球に対し時速110マイル(約177キロ)の鋭い打球を打ちながら併殺打の結果になった。これはスウィーパーだったことでタイミングが多少ずれたことが影響しているのかもしれない。今永投手目線ではコースは投げ損ないだったように見える。
今季初対戦では”違うスタイル”で対決
今永投手と大谷選手は、現地時間4月7日にリグレーフィールドでも対戦している。今季初対戦となった以下の打席では、大谷選手は粘って9球投げさせたが三振に打ち取られた。この打席でのコースは9月の対戦とは異なり内角高めを意識したものとなっている。 以上からわかるのは、今永投手も大谷選手も対戦相手の情報やデータを活かして投球や打撃に反映させたことで、内容のある対戦を繰り広げたことだ。 どちらも考えた投球や打撃ができるからこそ、今季は一流のメジャーリーガーとしてキャリアで最高クラスの成績を残せているのかもしれない。2人は、「日本人対決」の枠にはとどまらない、オールスターにも出場した一流のメジャーリーガーがぶつかる至高の対戦を繰り広げたのだ。