クリロナのレアルか。18歳ムバッペか? どうなる欧州CLベスト4激突
ユベントスとモナコは、現時点における最強の「盾」と「矛」の激突となる。堅守の「盾」を武器とするユベントスは、バルセロナとの準々決勝第2戦でバルセロナを枠内シュート1本に封じるなど、決勝トーナメント以降の4試合で無失点を続けている。 その中心に君臨するのが39歳の守護神ジャンルイジ・ブッフォンだ。2001年からゴールマウスを守るブッフォンはチャンピオンズリーグの優勝経験がなく、2年前も決勝でバルセロナに苦杯をなめさせられた。モチベーションは極めて高いと水沼氏も指摘する。 「年齢をまったく感じさせないほどコンディションがいいし、シュートへの反応も素早い。体を張って守る、あるいはシュートコースを消してくれる最終ラインの選手たちとの信頼関係が厚く、チームとしても最後尾にブッフォンがいるという安心感がある。守備陣を中心に、非常にいい関係が構築されている」 そして、試合を重ねるごとに破壊力を増す「矛」がモナコのFW陣、特に大ブレーク中の18歳、キリアン・ムバッペとなる。決勝トーナメントでは4試合連続で5ゴールをマーク。左サイドからスピードに乗って仕掛ける切れ味鋭いドリブルと高い決定力は、対戦相手に大きな脅威を与えている。 フランス代表でもデビューしているムバッペには、複数の強豪クラブが興味を示している。ブッフォンが築く壁に風穴を開ければ、スーパースター誕生への第一歩が刻まれるだろう。ムバッペにけん引される形で快進撃を続けるモナコを、水沼氏も今大会のダークホースとして見ている。 「178センチ、73キロとそれほどサイズはないが、フィジカル能力も極めて高い。試合のたびにどんどん成長しているし、前線でコンビを組む31歳のラダメル・ファルカオも左ひざの大けがから完全復活を果たし、全盛期の切れ味を取り戻している。決して勢いだけではなく、本当の力を備えてきている。 ただ、我慢すべき場面で前へ、前へと行きすぎてしまうことが少なくない。推進力が魅力だけれども、チーム全体として若いゆえに見せる隙をユベントスは絶対に見逃さない。今シーズンのユベントスは前線のゴンサロ・イグアインやパウロ・ディバラを中心に、ただ単に堅く守るだけのチームではないので」 モナコは決勝トーナメントの4試合で12得点を奪う一方で、9失点を許している。絶対的な堅守に加えてカウンター、そして老獪さと武器の「引き出し」が多い分だけ、わずかながらユベントスが優位に立つ。それでも下馬評を覆すだけの未知の爆発力を、ムバッペを擁するモナコもまた秘めている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)