韓国、日本旅行190%増、欧州は70%減…変化する海外旅行
物価高とウォン安ドル高が長期化し、新型コロナパンデミック(感染病大流行)以降に爆発的に増えた海外旅行需要に変化が表れている。北米・欧州など10時間以上飛行する長距離旅行ではなく、費用の負担が少ない日本などアジア旅行の人気が高まっている。旅行業界は冬季の特価商品と来年の連休商品で旅行客の需要をつかむという戦略だ。 韓国観光公社によると2020年4月の新型コロナパンデミック当時に3万1425人にまで減少した海外旅行客は今年1月には277万866人となり、パンデミック以前の2019年1月(291万2331人)の95%まで回復した。海外消費はさらに急速に回復し、コロナ以前の記録を更新した。韓国銀行(韓銀)によると、上半期の国内居住者の国外消費支出額は19兆4127億ウォン(約2兆800億円)と、2019年同期(18兆3787億ウォン)比5.6%増え、上半期基準で過去最高となった。7-9月期の海外カード使用額も57億1000万ドル(約8550億円)と過去最高だった。パンデミック期間に抑えられていた海外旅行需要が爆発した、いわゆる「報復消費」だ。 ◆海外旅行も「コスパ」トレンド 海外旅行の規模はパンデミック以前並みに戻ったが、旅行のトレンドは変わった。長距離旅行よりは費用を抑えられる短距離旅行が増えた。市場調査会社コンシューマーインサイトが先月、全国成人2000人を対象に調査した結果によると、調査対象者が過去6カ月間に最も多く訪問した地域は日本(32.3%)、ベトナム(16.6%)、欧州(8.1%)、オーストラリア・グアム・サイパン(4.2%)などの順だった。パンデミック以前の2019年の同じ期間の調査と比較した場合、日本とベトナム旅行客はそれぞれ189%増、116%増、欧州と米国・ハワイ旅行客はそれぞれ70%減、52%減となった。コンシューマーインサイトの関係者は「パンデミック以前と比較すると、費用を抑えた緊縮旅行傾向が目立つ」とし「当分は近距離・コスパ旅行の人気が続くだろう」と分析した。 短距離旅行に対する関心が高まったのは、不景気で物価高が続き、消費者が費用の負担を強く感じているためと解釈される。統計庁によると、消費者物価指数の上昇率は2、3月に3.1%を維持し、9月以降は1%台で安定している。しかし物価上昇ペースが賃金上昇ペースより速いため、実質賃金は減少した。雇用労働部によると、9月の物価水準を反映した実質賃金は375万1000ウォンと、前年同期比で1.9%減だった。7月にベトナムを旅行したというカンさん(29)は「遠くへ行くには費用が負担になり、物価が安い東南アジア地域で休暇を過ごした」とし「航空券40万ウォンを含めて3泊4日の日程で1人あたり100万ウォンをやや超える料金であり、費用の負担は大きくなかった」と話した。 ウォン安ドル高で費用の負担がさらに増えた影響もある。ハナ銀行によると、昨年末に1ドル=1300ウォン台序盤だった為替レートは今年3月には1ドル=1350ウォンを超え(ウォン安ドル高)、今月12日には1ドル=1403.5と、2022年以来2年ぶりに1ドル=1400ウォン台となった。ソウル江西区(カンソグ)の会社員キムさん(27)は「8月の夏休みに欧州に行きたかったが、費用が負担になり、札幌を4泊5日の日程で行ってきた」とし「円安のおかげでコスパのよい旅行ができて満足だった」と語った。 ◆特価商品で旅行客つかむ 旅行業界は冬季の旅行客を確保するため特価商品を相次いで出している。ハナツアーは来月8日まで「2024ブラックフライデー」イベントをし、最大50%割引のパッケージ旅行商品を販売する。モドゥツアーは来月15日までの「メガセール」で地域別割引クーポンとメガセール専用商品の割引を提供する。キョウォンツアーは「2024スーパーイージーアワード」企画展を開き、人気旅行地と人気ガイド商品を割引販売する。 連休を狙った商品も出ている。モドゥツアーは「2025乙巳年旧正月アーリーバード特価企画展」を開き、来年1月22日から2月1日までの間に出発する旅行商品を割引販売する。インターパークツアーは「有給休暇フレックス企画展」で旅行商品を安く販売する。旅行業界の関係者は「冬は残っている有給休暇を使う会社員と休みを活用して旅行に行く学生が多く、夏休み期間に劣らないほどのシーズン」とし「コスパ旅行トレンドに合わせてさまざまな特価商品を準備した」と話した。