根室発釧路行き快速「はなさき」は1両編成、窓は全開、ワゴン販売があった
【汐留鉄道倶楽部】夏休みに北海道の道東を3泊4日で一人旅した。JR根室線のうち「花咲線」の異名を持つ根室―釧路間(約135キロ)を乗りたかったのと、日本最東端の駅を見てみたかった―のが理由だ。 旅の前半は端折って納沙布岬から根室交通の路線バスで根室駅に向かう旅の2日目からコラムを始める。岬の前面は見渡す限り広大な海しかない。周りには北方領土絡みの建物や資料館が多く建つ。「本土最東端」の碑は当然の撮影スポットで、観光客が順番待ちしている。観光バスのガイドさんから「今日は貝殻島の灯台が見えますよ」との耳打ちで、望遠鏡をのぞくと海上におぼろげながら見えたような感じがした。わずか3・7キロ先だという。 1日5本の路線バスに遅れまいと、岬を後にそそくさと30ほどの停留所を経て根室駅に向かった。バス車内は地元の人と観光客が半々といったところ。「珸瑤瑁(ごようまい)」「歯舞診療所前」「トモシリ岬入口」など、停留所名は“根室半島感”満載だった。乗降がなくても一つ一つ愚直に停まる。約30分で根室駅着。駅前は土産物店や数軒の飲食店がぽつんとあるだけ。カモメだろうか。上空を大きな鳴き声で縦横無尽に鳥が飛んでいる。この日は根室市内泊まり。
翌日。予想以上に小さい平屋の根室駅の周辺を歩くと、さびた単線線路と車止めがあり、「根室本線終点」「東京駅まで1607キロ」の大きな看板があった。文字通り端っこの行き止まり駅。さび付いたレールに同色の車止めがあればいや応なしに「とうとう端っこの駅に来たなあ」と心底実感せざるを得ない。 根室発釧路行き列車の発車まで、時間つぶしの場所を探すが、これと言って店もなければ人もほとんど歩いていない。駅舎の前はいきなりアスファルトの広場。やたら大きな空と広い駅前。駅と一体化したそば店があったが、開店前だった。「さんまそば」のメニューに腹が鳴る。開店には間に合わず、列車を優先する。ホームには「日本最東端有人の駅」の看板。ホームの先に先ほど見た車止めが見えた。東京の猛暑をよそにさわやかな風が吹く午前。駅の温度計は27度を示していた。 1つしかないホームで待機していた11時3分発の釧路行きに乗る。ステンレス製のキハ54。国鉄民営化で導入された歴史ある北海道を代表する車両で、クロスシート中心の1両編成。耐寒設備が施されているというが、雪国の鉄道を知らない自分には道外の気動車との相違は良く分からなかった。