海岸線に「緑の歩行空間」整備 IRなき横浜・山下ふ頭再開発で答申
カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致が中止された山下ふ頭(横浜市中区)の再開発について話し合う市の検討委員会(委員長=平尾光司・専修大学社会科学研究所研究参与)が9日開かれ、オープンスペースを確保することやインバウンド(訪日外国人客)を呼び込む集客施設の整備などを盛り込んだ答申案をまとめた。 【写真】山下ふ頭再開発検討委員会の平尾光司委員長=2024年12月9日、横浜市中区、堅島敢太郎撮影 答申案では過去5回の委員会での議論を踏まえ、目指すべき姿として、「『緑と海辺』空間の創造」や「持続可能なまちの実現」「横浜らしさと賑わいが広がる都市モデルの構築」の三つの方向性を掲げた。 ■「旅の目的地」めざす 具体的には、臨港パークから山下公園までの海岸線に続く形で「緑でつながる歩行者空間」を整備するほか、次世代モビリティーなどを体験・体感できる場としても活用する。元町や中華街など近隣の観光資源も生かし、「旅のデスティネーション(目的地)」となる開発をめざすとしている。 また、市民から延べ1万件を超す意見が寄せられたことを踏まえ、再開発の効果を市全体に波及させることや、市民に意見を問うプロセスを経ることが望ましいとするまちづくりに向けた要望も盛り込まれた。 検討委の答申を踏まえ、今後は市が事業計画案を作成する。市は市民から意見を募集したり意見交換会を開いたりした上で、事業計画を策定。2026年度ごろに事業予定者を選び、30年ごろの運用開始を目指すという。(堅島敢太郎)
朝日新聞社