ただの【むくみ】じゃなくて、まさかの糖尿病!? 「むくみやすいのは更年期のせいだから」の自己判断に潜む、糖尿病リスクとは
更年期の症状として知られるむくみ。 よくある症状のひとつと思いがちですが、実は更年期ではなく別の病気のサインのこともあるので注意が必要。 【データ】更年期の始まりのサインと気づいた年齢は? そう話すのは、漢方製剤の研究開発を手掛けている碇純子さんです。 今回は「更年期のむくみ」について、見極め方と対処法を教えていただきます!
Q.更年期はどうしてむくみやすいのでしょうか?
【A】 更年期のむくみ、気になりますよね。 40代後半~50代の閉経前後の10年間を更年期と呼びます。更年期は、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が急激に減少し、これは心身のさまざまな不調の原因になります。 むくみもその不調のひとつです。 血液循環を制御している自律神経がエストロゲンの減少により乱れると、交感神経のはたらきが強くなり、血管が収縮します。 そして、血行不良が起きた結果、むくみやすくなるのです。
Q.むくみの原因は更年期以外にもありますか?
【A】 はい、むくみの原因は更年期以外にもあります。 そのひとつが加齢です。心肺機能や筋肉が衰えると、血液を送り出しからだの隅々に行き渡らせる力が弱くなります。 その結果、古い水分や老廃物がたまり、むくみの原因になるのです。 また、生活習慣が関係している場合もあります。 水分や塩分の摂りすぎ、長時間の同じ姿勢、ストレスなどもむくみに影響しています。 そして、病気が原因のむくみもあり、糖尿病による合併症に、「糖尿病性腎症」というものがあります。 血糖値が高くなると、老廃物が正常にろ過できず、血液中のタンパクが尿に漏れ出てしまいます。 血液中のタンパク濃度が低下して低タンパク血症になると、全身にむくみが起こるのです。
Q.むくみの原因を見極めるにはどうしたらいいですか?
【A】 先ほど説明したように、むくみの原因にはさまざまなものがあり、専門家以外が原因を特定するのは難しいです。 更年期が原因と思って適切な治療をせず放置した結果、実は糖尿病のサインだった、ということもあります。 とくに、会社などで健康診断を受ける機会が少ない主婦層は病気の発見が遅れがちです。 糖尿病の主な自覚症状は「のどが乾く」「傷の治りが遅い」「尿が臭う」などですが、まずはむくみの自覚症状が出た時点で病院を受診しましょう。 すでにむくみがある場合はできるだけ早めに診察を受けてください。 医療機関に相談する場合、まずは内科を受診しましょう。 症状により、循環器内科、血管内科、糖尿病内科、消化器内科などに回されます。 判断に迷う場合は、いきなり専門科に行くよりも総合内科を受診するほうが効率がいいでしょう。 つづき【後編】では、むくみが更年期によるものだったときの対処法についてお話を伺いします。
あんしん漢方/薬剤師・漢方薬生薬認定薬剤師 碇 純子