水原希子さん、幼少期の葛藤から「毎日泣くほどつらかった」モデル時代の挫折を告白
新しい可能性があるならば、挑戦せずにはいられない。それが私の性格なんです
――水原さんにとっての俳優デビュー作ですね。もともと俳優業に興味があったのでしょうか? 正直、演技をやりたいと思ったこともなかったし、やれる自信もなかったのですが。ベトナム系フランス人の監督が私を指名してくれたと知り、ちょうどフランスから帰国直後だったこともあって、運命を感じたんです。「会ってみたら何かにつながるかもしれない」という淡い期待を胸に、オーディションに挑戦しました。 初めて挑むお芝居は想像を絶するほどに難しかった。一応、最後まで受けようと続けたけれど、最終オーディションの日は疲れが限界に来ていました。朝までCM撮影をしていたせいで台本も覚えられなくて、「ごめんなさい、昨日4時まで仕事をしていて、もう無理です」と辞退を申し出たら、監督が散歩に連れ出してくれたんですよね。 渋谷を歩きながら、自分の家族のことや父のこと、当時の恋人のこと…あらゆることを話しました。そうしたら監督から突然、「緑は君で決まり!」と言われて。そこで役が決まったんです。 ――そんな経緯があったんですね。本作以降も次々と話題作への出演が決まり、『ノルウェイの森』は水原さんの代表作のひとつになりました。初めてのお芝居は、いかがでしたか? 楽しめなかったですね、まったく。最初から最後まで、つらかった記憶しかありません(笑)。まず台詞の意味から理解できなかったし、監督は厳しい人で、多いときはワンシーンを50回もやり直した。松ケン(松山ケンイチ)をつき合わせてしまうことも、フィルム代がかさむことも申し訳なくて、毎日がプレッシャーとの戦い。最終的には、完成した作品がとても美しかったので、それだけが救いだったかな。 だから撮影を終えたとき、「二度とお芝居はしない」と心に誓いました。でも翌年、『ヘルタースケルター』のオファーをいただいて。やらないと決めていたはずなのに、もともと原作のファンだったこともあり、「やるしかない!」という感覚になったんですよ。うまく説明できないのですが…新しい扉が開いちゃったから仕方ないよね、という感じで。新しい可能性があるなら、挑戦せずにいられない。それが私の性格なんだと思います。 女優、モデル、デザイナー 水原希子 女優、モデル、デザイナーとしてマルチに活躍し、国内外のさまざまな作品や雑誌の表紙で存在感を放つ。日本語、英語、韓国語を話すトライリンガルで、ソーシャルメディアでも圧倒的な人気を集める。 取材・文/中西彩乃 撮影/松岡一哲 スタイリスト/小蔵昌子 ヘア&メイク/Sakie 企画・編集/種谷美波(yoi) トップス¥48,400/MAGLIANO(ディプトリクス03-5464-8736)スカート¥49,500/VOLTAGE CONTOROL FILTER(サカス ピーアール03-6447-2762 )キーホルダー¥29,000・キーチェーン¥32,000 /Marland Backus × Tomihiro Kano(マーランド バッカスinfo@marlandbackus)シューズ/スタイリスト私物