見逃される「うつの子ども」たち。3~17歳の子どもの3.2%が発症という調査結果も
友人関係、親子関係、会社の人間関係などに悩み、「うつ症状」を抱える大人世代が多くなっています。しかし、「うつ」の症状が出るのは、決して大人だけではありません。登録者数62万人のYouTubeチャンネル「精神科医がこころの病気を解説するCh」を運営している、現役精神科医の益田裕介先生は、心のモヤモヤの原因は、子どもの頃のうつが関係していると言います。まだあまり知られていない“子どものうつ”の正体についてお話を聞きました。 【漫画】 『まんが 夜のこころの診療所 精神科医がいるスナック』を試し読み!
大人だけじゃない、子どもにも“うつ”はある
この“子どものうつ”という問題。 現役の子どもたちだけではなく、なんと今社会で働く大人の私たちも“子どもの頃、じつはうつだった可能性”があるそうです。そしてその体験は、今の日常生活にも大きな影響を及ぼしていると…。 「そうです。子ども時代にうつを経験した人は、大人になってからの精神疾患の発症や再発率が、経験しなかった人よりも高く、重症化もしやすいです。そもそも、長い間うつ病とは原因不明の脳の病気であり、一定期間落ち込む状態が繰り返されるものだと考えられていました。それが、近年の研究の中では、『脳の疲労からくる病気で、かつ疲労とは脳内の炎症である』『この炎症によって、神経細胞やそのネットワークに不調をきたす』ということが分かりました」(益田先生・以下同) その疲労や炎症は、年齢関係なく子どもでもみられるのでしょうか。 「はい。年齢は関係ありません。たとえば2016年アメリカで行われた国内調査では、3歳から17歳の子どもの3.2%がうつ病を患っているという報告があります。さらに子ども時代を通じて、2割弱の人々がうつなどの精神疾患を経験すると言われています」 勝手な先入観ですが、「うつは大人の病気」「子どもにうつはないだろう」という思い込みも多いですよね。 「日本でも、多くの子どものうつが見逃されていると思います。子ども時代のメンタルケアって、その後の人生を考えるととても重要な課題です」