ソフトバンク育成7位の右腕は最速148キロ 昨年右肘手術も…潜在能力は「世代ナンバーワン」の声 神戸国際大付高の津嘉山憲志郎
ソフトバンクから育成ドラフト7位で指名された兵庫・神戸国際大付高の津嘉山憲志郎投手(18)が7日、神戸市垂水区の同校で稲嶺誉アマスカウトから指名あいさつを受けた。昨年11月に右肘の内側側副靱帯(じんたい)再建術(通称トミー・ジョン手術)を受け、今年は実戦登板のなかった右腕だが、春夏計8度の甲子園出場がある強豪で1年夏から主戦級で活躍。2年夏の兵庫大会では1試合15奪三振もマークした本格派右腕で、下級生当時から「ドラフト何位だろう? 上位だよな、と僕は見ていてずっと思っていました」と稲嶺スカウトが絶賛する潜在能力を秘めた最速148キロの〝隠れた逸材〟だ。 ■元タレント夫人と腕組みハニカミ2ショット【和田毅秘蔵写真】 今年は実戦で全く投げていない右腕だが、過去の実績はすごい。兵庫大会では1年夏から背番号20でマウンドに立ち準優勝。背番号10をつけた昨夏は星陵との2回戦で9回15奪三振で完封し、同年の選抜準優勝校の報徳学園との5回戦でも9回2失点で完投勝利を挙げ、社との準決勝は延長10回タイブレークの末に敗れたが、4試合に登板して30回⅔でわずか6失点、33奪三振の快投を見せた。 2年生右腕には早々と「2024年のドラフトの目玉」の評判が立ち、1年時からマークしていた稲嶺スカウトは「もうドラフト何位くらいになってくるんだろう、上位だろうな、と見ながらずっと考えていました。12球団全てのスカウトがそう見ていたと思いますよ」と振り返る。それこそ順調なら、今秋は「ドラフト1位」すらあったかもしれないのだ。 その津嘉山が右肘のトミージョン手術を受けたのは昨年11月。その時点で今夏、つまり高校最後の夏には、登板できないことを意味していた。青木尚龍監督と話し合い、確認し合ったのは「その先、次のステージがある」。甲子園ではなく、あくまでプロを見据えての決断で、ボールを投げ始めたのは術後8カ月となる今年7月。そのリハビリと並行しながら津嘉山は主将としてチームをけん引し、今夏の兵庫大会では「代打の切り札」としてベンチ入り。そのリーダーシップに加え、常にグラウンドに一番乗りという練習熱心さなど「能力評価もそうですが、練習をずっと見てきましたが、野球が大好きだというのが伝わってくるんですよ」と稲嶺スカウトはいう。 津嘉山によると、現時点では30メートルの距離で、6割程度の力でのキャッチボールができるまで回復。「今、慌てても意味はないと思っているので」と投げたい気持ちに自らブレーキをかけ、慎重にトレーニングを続けているという。「トミージョン手術というのは、悪くなる手術じゃない。新しい靱帯に入れ替えるという手術なので、良くなると思ってやってきたので、別にけがをしてプロに入っていくとは思っていない。そこからはい上がってやるという気持ちで練習もやっているので、やってやろうとしか思っていないです」と今後への覚悟も十分。「目標は決めていない。これから復帰していくにあたって、自分のピッチングスタイルに合って、こういう方向に向いていくのかな、というのは投げていきながらできていくと思うので、まだはっきりした目標というのはつくっていないです」というクレバーさに〝野球脳の高さ〟も垣間見える。 稲嶺スカウトは「ホントに馬力がある」と評した上で、西武の右腕・平良海馬にそのイメージを重ねているという。恩師の青木監督は、元オリックスの坂口智隆、楽天の小深田大翔、巨人の平内龍太ら、多くの好選手をプロに送り込んできた。その名伯楽が、津嘉山の持てる能力を、こう表現した。「私は世代ナンバーワンの選手だと思っています」 つまり〝完全復活〟すれば、とてつもない投手になるという太鼓判でもあるだろう。今年は、同じ兵庫県にも、ソフトバンクに1位指名された神戸弘陵高の村上泰斗、阪神に2位指名された報徳学園高の今朝丸裕喜と、同じ本格派の右投手がいたが、彼らよりも持てる能力は〝上〟だと言い切るのだ。沖縄出身で「ずっとソフトバンクファンでした」という生粋の鷹党が、恩師からの太鼓判を受けての〝再出発〟。その秘めた能力の開花する時が、もう待ち遠しい。 【#OTTOホークス情報】
西日本新聞社