やる気をアテにする社会人は二流…17万人のデータでわかった「人事評価トップ5%社員」に共通する習慣
■優秀な人は睡眠時間も長い 【澤円】先の、一定時間以上の睡眠を確保することもそうだと思いますが、優秀なビジネスパーソンはどのような健康習慣を持っていますか? 【越川慎司】睡眠時間が長い傾向にあることは間違いありません。トップ5%以外の平均睡眠時間が5.4時間に対して、トップ5%社員の平均睡眠時間は6.5時間と1時間以上も長いことが調査から判明しました。平均の数字ですから、なかには8時間以上という人もいるほどです。 仕事が忙しいときには、「まず睡眠時間を削ろう」と考えるのが一般的でしょう。でも、トップ5%社員は、「健康でなければいいパフォーマンスを発揮できない」と認識しています。そのため、睡眠時間を確保したうえで「仕事のなかでなにを減らしたらいいか」と考えるのです。 ■ランチは腹八分目、間食はナッツ 【澤円】健康習慣というと、食事にもなにか特徴がありそうに思いますが、いかがですか? 【越川慎司】優秀なビジネスパーソンの多くが、「血糖値のコントロール」を意識しています。ランチに脂質や糖質が多いものをたくさん食べると、血糖値が急上昇します。その瞬間は高揚感が生まれますが、そのあとに血糖値が急降下し、集中力が低下したり眠気に襲われたりしてしまうのです。ですから、ランチは腹八分目に抑える意識をトップ5%社員は持っています。 その代わりに、間食をするという習慣も持っています。10時や15時にバナナやナッツ類、ドライフルーツなどを食べるのです。おなかが空き過ぎてしまうと、血糖値が低下して脳にエネルギーがまわらなくなり、パフォーマンスが落ちるからです。満腹にはしないものの、常にある程度おなかに食べ物があるという状態をコントロールしているようです。 【澤円】健康であることがパフォーマンス向上に直結することがよくわかりました。そう考えると、「全然寝てないんだよ」などと不健康自慢をするようなことはもってのほかですね。 【越川慎司】そういった間違った武勇伝をして楽しいのは、話している本人だけです。むしろ、メンバー同士で「こういうことをしたら健康によかった」という経験を共有するなど、チーム内で建設的なディスカッションをしてほしいですね。 ---------- 越川 慎司(こしかわ・しんじ) 株式会社クロスリバー代表 元マイクロソフト役員。国内および外資系通信会社に勤務し、2005年に米マイクロソフト本社に入社。2017年にクロスリバーを設立し、メンバー全員が週休3日・完全リモートワーク・複業を実践、800社以上の働き方改革の実行支援やオンライン研修を提供。オンライン講座は約6万人が受講し、満足度は98%を超える。著書に『AI分析でわかったトップ5%リーダーの習慣』、『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』(共にディスカヴァー・トゥエンティワン)、近著に『29歳の教科書』(プレジデント社)がある。 ---------- ---------- 澤 円(さわ・まどか) 圓窓 代表取締役 1969年生まれ、千葉県出身。株式会社圓窓代表取締役。立教大学経済学部卒業後、生命保険会社のIT子会社を経て、1997年にマイクロソフト(現・日本マイクロソフト)に入社。情報コンサルタント、プリセールスSE、競合対策専門営業チームマネージャー、クラウドプラットフォーム営業本部長などを歴任し、2011年にマイクロソフトテクノロジーセンター長に就任。業務執行役員を経て、2020年に退社。2006年には、世界中のマイクロソフト社員のなかで卓越した社員にのみビル・ゲイツ氏が授与する「Chairman's Award」を受賞した。現在は、自身の法人の代表を務めながら、琉球大学客員教授、武蔵野大学専任教員の他にも、スタートアップ企業の顧問やNPOのメンター、またはセミナー・講演活動を行うなど幅広く活躍中。2020年3月より、日立製作所の「Lumada Innovation Evangelist」としての活動も開始。主な著書に『メタ思考』(大和書房)、『「やめる」という選択』(日経BP)、『「疑う」からはじめる。』(アスコム)、『個人力』(プレジデント社)、『メタ思考 「頭のいい人」の思考法を身につける』(大和書房)などがある。 ----------
株式会社クロスリバー代表 越川 慎司、圓窓 代表取締役 澤 円 構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム) 文=清家茂樹