筑波大では三笘薫世代の主将、新潟明訓・加藤潤がコーチとして全国帰還「こういう舞台に来て、頑張ってますよと」
[12.31 選手権2回戦 新潟明訓0-6阪南大高 NACK] 9年ぶりの全国選手権出場となった新潟明訓高(新潟)は、0-6と大敗して初戦敗退となった。9年前は主将として出場。今年はコーチとして選手権に帰ってきた加藤潤コーチは、「相手の攻撃力がうちを凌駕していた。うちはシュートが枠に飛ばない。その技術の差はかなり感じました」と残念がった。 【写真】福田師王が大胆イメチェン「ライオンじゃん」「圧倒的金ピカ」 「グラウンドから見る景色と、外から見る景色は違うなと、少し落ち着いてみれた。プレーしているときはいっぱいいっぱいでしたが、今日は監督は何を考えているのかとか、相手の狙いは何かとか、どういうところを狙っているかなとか。冷静にみれたので、選手の時とは違う感覚でいるなと思いました」 9年前、世代別代表歴を持っていた加藤は、注目選手の一人として高校選手権を戦った。結果は2回戦敗退だったが、卒業後は筑波大に進学。同期に現日本代表MF三笘薫(ブライトン)や今季よりヴィッセル神戸でキャプテンを務めるDF山川哲史らがいたが、当時1年生で大学リーグ開幕戦に出場したのは加藤のみ。それもフル出場のデビューだった。 しかし前十字靱帯損傷など怪我の影響は大きく、一緒に推薦入学した三笘、山川、GK阿部航斗(磐田)、MF高嶺朋樹(札幌)が卒業後にプロクラブに進んだ一方で、最終学年を主将として過ごした加藤は競技を引退。母校の新潟明訓高で教員としての人生をスタートさせることにした。 三笘らの活躍をみると、今でも羨ましい気持ちがあるようだ。「悔しいですよね。実際、僕はプレーできないので。こういう舞台に来て、頑張ってますよということをアピールするしかないけど、三笘みたいに点を決めました、代表入りましたというわけじゃないので、なかなかもどかしい」。それでも「すげえ刺激になっている。今回も全国大会の初戦負け。僕自身、まだまだ甘いなと感じました」と、今求められている役割もしっかりと理解している。 今でも入学直前に作ったLINEグループが使われているという。加藤を含めた上記推薦組の5人に、大川圭為さん(元新潟シンガポール)の6人で作ったグループで、近況を報告し合っているという。「今回の出場が決まったときも、みんなからおめでとうって来ましたし、一昨日(12月29日)かな。高嶺が誕生日だったので、みんなでおめでとうと送り合った。山川が優勝したり、薫が代表に入ったり、移籍しますとか、報告だけですけどね」。別々の道に進んで5年が経つが、変わらぬ関係が続いている。 体育教師として着任した母校では、現在2年生のクラス担任も務めている。「もう5年。早いなって思いますね。でも筑波大の僕らの世代で先生になった子で、全国大会に出たのは僕が初めてなんです。これからですか?タイミングもあるし、例えば筑波大の大学院に戻るとかも頭にある。県内は厳しいけど、県外からいいお話を貰えたらチャレンジするかもしれない。でも今はずっと明訓でやるつもり。それにこれからというときにいなくなるのはね」。 そして全国大会で得た経験を糧に新潟に戻ってチーム強化に繋げたいと意気込む。「来年はインターハイから目指したい。守備も頑張る、走る、筋トレも。それにボールを扱う技術もこだわってやらないと、全国では無理だと分かった。恥ずかしいプレーをしてしまう。県代表だよって。僕は思ってしまうので。強みをこだわれるチームを作りたいですね」。坂本和也監督が理想とする“新潟っ子”を揃えた戦いで9年ぶりに立った全国の舞台。帝京長岡ら県内のライバルは強力だが、次は全国で勝てるチームを作って帰ってくる。