「第3子以降に1000万円」で子どもは増えるか…政策通たちが動きはじめた「超・少子化対策」驚愕の中身
東京・港区区議の困惑
日本トップクラスの財政力のある港区では近年、再開発によるタワマン建設ラッシュでファミリー層が急増し、23区で二番目に子どもが多い自治体となっている。 【一覧】6月ヤケクソ解散で自民党ボロ負け…!落選する議員の実名はこちら! ここで「第3子、第4子が生まれれば、その子たちに1000万円を支給をしたい」と考える政治家がいる。斎木陽平氏――32歳の最若手の港区区議だ。子どもが生まれないこの国で、財政に余裕のある港区から、第2子から第3子を生むきっかけを作ろうと奮闘している。 しかし、議会で区役所の担当者に「第3子以降に1000万円の支給が可能かどうか」と質問すると返ってきた答弁は、次のようなものだった。 「子どもを持てない理由は経済的な理由だけではない」 「総合的な理由によって要因が複雑に絡み合っている」 「だから、予定はしていない」 斎木区議はこの答弁に納得しない。 なぜなら、国立社会保障・人口問題研究所のデータには、理想の数の子どもを持たない理由は、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」がダントツのトップだからだ。しかも、この回答は、出産適齢期の30歳未満で約76%、30~34歳では約81%に上っている。 それなのに、いったいなぜ…。斎木区議は疑問を募らせるのだった。 「もちろん、子どもを持たない理由は経済的な理由だけではないでしょう。欲しいけれども子どもができないという問題や健康上の理由だってある。それは誰でも知っています。でも、経済的な理由が最も大きいのも事実。少子化対策の議論は、エビデンスが置き去りになり、感覚的な思い込みに終始しているような気がしてならないのです」
ヤバすぎる「少子化」と「その対策」
岸田文雄首相の肝いりである「異次元の少子化対策」は、今国会でも紛糾した。 政府が児童手当の拡充のために国会に提出した「子育て支援金」の財源が、公的医療保険料に上乗せして徴収されるとあって、「目的外利用」との批判を受けている。 このように少子化対策の議論は、多くの場合、財源論や性差の人権論の隘路にはまりこむ。そのうえで出てくる対策は、いずれも力不足、意味不明の妥協の産物だった。 2月に韓国の2023年の合計特殊生率が0.72となり、過去最低を記録したことが日本でも話題となった。10年前から半減し、約5000万人の人口が、50年後には3000万人まで4割も減少する計算だ。「国家消滅の危機」として重く受け止められている。 日本の2023年度の出生数もヤバかった。速報値で75万8631人と8年連続で減少した。 日本の出生率は2005年度に最低の1.26を記録して以降、2013年度に1.43まで回復したものの、その後は再び下降トレンドを描き、この6月に発表予定の2023年度の出生率は、過去最低を下回ると予想されている。 実は、少し前の政府の統計では出生数が80万人割れするのは2033年度だと見られていた。ところが、ふたを開けてみる80万人を割りこんだのは2022年度(77万人)で、予想よりも11年も早かった。 さらに最新の推計でも、出生数が70万人割れするのは2043年度と見られているが、昨年度の出生数はすでに75万人(速報値)だ。仮に、今年度あるいは来年度に70万人割れしてしまえば、20年近くも前倒しとなる。 政府の甘すぎる見通し、甘すぎる対策に、もはやつき合っていられない…。そんな空気を映し出すように、最近、若手政治家や政策関係者たちから注目を集め始めているのが、「第3子以降に1000万円を支給する」という政策案だった。