新型キャラバン マイルーム ローンチエディションは、もはや“動く部屋”だった! 日産が考える商用車の新しい使い方とは
日産「キャラバン」に追加設定された「マイルーム ローンチエディション」は、見どころ豊富な1台だった! 小川フミオがリポートする。 【写真を見る】新型キャラバン マイルーム ローンチエディションの細部(24枚)考え抜かれたベッドやソファーの使い勝手などがスゴくイイ!
居心地上々
日産はキャラバン マイルーム ローンチエディションを2023年10月に発表、2024年3月にテストドライブする機会を提供してくれた。ほんと、リラックスしちゃうクルマである。 ベースは、2555mmのホイールベースに、全長4695mm、全幅1695mm、全高1975mmの標準ルーフでかつロングボディを載せたキャラバンだ。 おもしろいのは、インテリアの変幻自在ぶり。広大な荷室をもつ4座のトランスポーターとして使えるいっぽう、後席は折りたためるだけでなく、バックレストを折りたたむなどアレンジを変え(後ろ向きにすると)ソファにもなる。 シートとして使うときと、ソファとして使うときの座面のクッション性が異なっているのも凝った点。折りたたみベッドあるいはマイルーム跳ね上げベッド(購入のとき選択)がそなわるので、後席を使いながら、身長180cmでも余裕のベッドをすぐ作ることが可能。 ベッドとしてのクッション性もよくて、下手な航空機のビジネスクラスより上、という印象だった。ビジネスクラスほど硬くないのは先述のとおりだし、ゴツゴツとした立体形状でないのもうれしい。 荷室部分にはウッドブラインド、後席部分はカーテンが装備されるので、プライバシーも確保される。ナチュラルウッド感覚のインテリアに身を置いていると、一瞬、自分がどこにいるのか忘れそう。 クッションとして使うときは、テールゲートを開け放って外の景色を楽しむのもよいし、広いスライドテーブルが用意されているので、仕事も出来る。食事もゆったりした気分で楽しめそうだ。 もうひとつの機能は、「シアタールーム」。天井取り付け式のロールスクリーンを使って、車内でビデオ上映が楽しめる。日産では、「リーフ」のリサイクルバッテリーから作った「ポータブルバッテリーfrom LEAF」も用意。1台載せていけば、用途は広いそうだ。 駆動系は、2WDと4WDを用意。2439cc4気筒ディーゼル(97kW/370Nm)と、1998ccガソリンエンジン(96kW、178Nm)が選べる。今回乗ったのはディーゼルエンジン車。7段ATとの組合せだ。 370Nmの最大トルクは2000rpmから八期するので、2tを少し超える車重があまり気にならない。直進安定性もよい。さらに、日常生活のあらゆるところでの使用を前提にしているだけあって、取りまわし性の面でも不満はない。 乗り心地はさすがに硬くて、段差ごえのときにガツンっと強いショックが、とくに後輪から響くこともある。でも総じて、ガマンを強いられるほどではない。とはいえ、商業車がベースになっていることを肝に銘じていたほうがいいかもしれない。 キャラバン マイルーム ローンチエディションは、実際に使ってナンボのクルマである。大きな空間をぜいたくにふたりで使い倒すというのも(車検証では5人乗り)、なかなかない楽しみかたで、いいのではないでしょうか。価格は595万8700円から714万100円まで。
文・小川フミオ 写真・小塚大樹 編集・稲垣邦康(GQ)