箱根駅伝Stories/順大主将の三浦龍司「同じ熱量で頑張ってきた仲間」と挑む最後の箱根路 胸に秘める同期や後輩たちへの思い
新春の風物詩・箱根駅伝の100回大会に挑む出場全23校の選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。それぞれが歩んできた1年間の足跡をたどった。 箱根駅伝Stories/東海大・石原翔太郎 ケガから復活への一歩 感謝の気持ち込め「全力を尽くしたい」 2020年。当時1年生だった彼らが4年生で迎える100回大会は、どんな大会となるのだろうか。三浦龍司(順大)、吉居大和(中大)、石原翔太郎(東海大)。“最強世代”が迎える最後の箱根路の物語――。
駅伝主将として過ごした1年
世界選手権の上位争いをするような選手、コーチたちは驚くかもしれない。三浦龍司というランナーが、ダイヤモンドリーグ(DL)ファイナルで5位になった後は、まとまった休養を挟むことなく距離を延ばして調整することを。それだけ異質な道を3年間、繰り返してきた。 3000m障害で日本記録を持ち、21年東京五輪と今夏のブダペスト世界選手権で6位入賞。世界トップランナーの1人といっても過言ではない。3000m障害を主戦場とする選手の多くは1500mや3000mでスピードを磨くし、レースに出るとしても5000mまでというのがほとんど。10000mやハーフに出ることは稀だが、走ったとしても調整や練習の一環。だが、三浦は1月2日に20kmもの距離を“ガチンコ”で走ってきた。もちろん、パリ五輪イヤーの2024年も、走る。 「駅伝は好きですよ。個人競技ではなく、チームで戦うからこそ達成感や充実感が増しますから」 全身がヒリヒリするような“個”のぶつかり合いとは違う、駅伝を目指し、走る日々でしか味わえないものがある。 今年は駅伝主将に自ら手を挙げた。1学年上の先輩だった西澤侑真(現・トヨタ紡織)の影響が大きかった。自分の陸上人生、いや、人生において、この経験は大きなものになる。「引っ張っていくタイプではない」し、朝起きるのが苦手だったりもする。それでも、三浦は手を挙げた。 ただ、「どうしても海外レースが中心になってしまう」。三浦は、同期の藤原優希に「一緒にやってほしい」と声をかけた。 「前回の箱根駅伝を走ったあと、藤原の姿勢や走りに変化がありました。同じキャプテンをする上で実績的な部分も必要です。Cチームから上がってきて、いろいろな視点を持っているし、後輩たちもコミュニケーションを取りやすい。そういう人物がリーダーであるのは大きな意味があります。(キャプテンに)ふさわしい存在です」 前半シーズンは世界選手権を中心にスケジュールを組み立てたため、想定通りチームを離れる日が多かった。「全体への声かけも難しかったですし、今までキャプテンをされてきた方々のようにはできませんでした」。ただ、「藤原がいてくれるからこそ、頼っていました」と言う。三浦は個別に1年生や伸び悩んでいる選手たちに声をかけつつ、9月以降は駅伝に向けて自身も調整していった。