箱根駅伝Stories/順大主将の三浦龍司「同じ熱量で頑張ってきた仲間」と挑む最後の箱根路 胸に秘める同期や後輩たちへの思い
同じ熱量で頑張ってきた仲間とともに
出雲駅伝はある程度早くから見送りを決め、「全日本、箱根に向けて“溜め”を作る」ことに注力。ある程度の準備はできたはずだった全日本では「1kmは突っ込んで、2kmでは落ち着いて走った。そんなに感覚は悪くなかった」。それでもタイムは上がらず「どうしてだろう」という結果に終わっている。 出雲10位、全日本11位と、苦しい駅伝が続く。「選手それぞれ、力を出すことができていません。チーム力はあるのですが」。その原因の一つには「上級生の選手層の厚さ」とも。「安心感や厚みが足りない。だから、吉岡(大翔)らが伸び伸び走らせてあげられていない」と責任を感じている。裏を返せば「戦力としては過去2年と大差はない」。どう力を発揮できるチームに仕立てられるか。 1年時は1区、そして2、3年と2区を走ってきた。決して“大エース”という役割ではない。「これまで1、2区しかないので、今回も序盤区間だと思います」とし、「できれば1区で」と笑う。実は「1年生の最初は下りも得意だと思っていたので6区を走りたいと思ったこともありましたが、今は苦手です」。 “花の2区”を2度経験した三浦。「2区は最長区間ですし、絶対的なスタミナ、タフさは必要。最初にレースが動く場所ですし、重要度は高い。いろいろな準備が必要です」とコースの印象を語る。 オリンピアンである三浦が走れば、世間の人々は“そういう目”で見る。周囲の求める結果と、自分の走りや結果に対する感触。そのギャップは、埋めがたい。「仕方ないこと」と割り切っているが、悔しさがないはずはない。 それでも、三浦は箱根駅伝を走る。果たして今回は1区か、2区か。それとも。 「15人いる同期は、それぞれ目指す場所や実力は違っても、同じ熱量で頑張ってきた仲間。だから僕らも奮起できたんです。石井(一希)とは1年目から同じ大会に出てきた戦友。ここぞというところで期待に応えてくれます。最高学年として、後輩たちに残せるのはシード権。そして同じ目標に向かって頑張ること。それは最後までやりとおしたい」 100回目を迎える箱根駅伝に、世界トップランナーの1人がいる。どんな選手でも、同じ熱量で、同じようにタスキをつなぐ。だから箱根駅伝は100回続いてきた。 世界へと巣立つための土台を作り、送り出してくれた順天堂大学。そのユニフォームを着て、タスキをかける最後の駅伝。「世界のMIURA」ではなく、「順天堂大学の三浦龍司」として、最高の仲間とともにあの舞台を駆け抜ける。
向永拓史/月陸編集部