ヘッジファンド、中国株に殺到-「銘柄選択の必要すらない」と強気派
(ブルームバーグ): ヘッジファンドが前例のないペースで中国株に殺到している。中国当局の景気刺激策で苦境にある経済の回復が加速するとの期待が背景にある。
米ヘッジファンド運営会社マウント・ルーカス・マネジメントは、中国関連の上場投資信託(ETF)に強気のポジションを設定し、シンガポールのガオ・キャピタルと韓国のタイムフォリオ・アセット・マネジメントは中国の大型株、シドニーのトライベッカ・インベストメント・パートナーズは代替銘柄としてオーストラリアの鉱山会社などに買いを入れている。
マウント・ルーカスの最高投資責任者(CIO)、デービッド・アスペル氏は「この分野を嫌うか、何度も失敗してうんざりしたりした多くの人々が、今や買いを検討している。株価は景気より先に底打ちし急上昇することが多い」と指摘した。
アスペル氏は幾つかのファンドで、中国のオンライン小売企業JDドットコム(京東)などを対象にコールスプレッド戦略を採用する。
中国当局の刺激策と政策支援の組み合わせが同国経済を停滞から脱却させるとの楽観的な見方が広がったことで、中国株は9月30日に2008年以降で最大の上昇率を記録し、強気相場入りした。ヘッジファンドも主な買い手の一翼を担い、ゴールドマン・サックス・グループのプライムブローカレッジ・デスクのデータによると、ヘッジファンドによる中国株の買越額は9月26日までの1週間で過去最大となった。
今回の急回復により、中国株の過去3年間にわたる下げが終焉(しゅうえん)を迎えるとの楽観論が強まった。中国株は21年の高値から9月半ばまでにほぼ半値水準となったが、ファンド界の大物が突如として多数参入。米資産家デービッド・テッパー氏は「あらゆる」中国関連株を買い増し、世界最大の資産運用会社、米ブラックロックも中国株をオーバーウエートにしている。
熱狂的な相場上昇に伴い、ショートポジションを保有していた一部のクオンツヘッジファンドはマージンコール(追加の担保・保証金請求)に直面しているもようだ。中国株への関心が高まる中で、一部の資金運用会社は個人投資家の購入を制限した。