「会った人をひと言ほめる」を徹底した経理社員が死去→葬儀で見た「驚きの光景」
● 怒気をはらんだ社員の表情を 一瞬で変えた経理社員の一言 私のクライアント先に1人の経理社員がいました。その女性は、経費精算や領収書などを提出したり、経理処理の相談にやってきたりする人に対していつも「今日も素敵な笑顔ですね!」「そのアクセサリーかわいい」「いつも一番に経費精算を出してくれて本当に〇〇さん優しいです……」など、とにかく「何か一言褒める」ということをしていました。 最初、「人と話すのが好きな人なんだな」くらいに思っていましたが、そうではないことがわかった出来事がありました。 ある日、いつもは穏やかでムードメーカーのAさんが、湯気が見えそうなくらい怒気をはらんだ表情で経理社員の彼女に書類を提出しに来ました。直前に現場部門の会議で意見の相違で言い合いになったようで、顔は怒ったまま、夜も遅かったので服装も乱れ、時計やネクタイなども身に着けておらず、彼女の横に座っていた私は、「申し訳ないが、さすがに今日のAさんは褒めるところが見つからない……」と思いました。 それに、もし私がAさんの立場だったら、不機嫌な時に褒め言葉を言われても、「そういうのは今いいから」と、逆に怒ってしまうかもしれないなと思いました。もし自分なら「書類ありがとうございます。お疲れさまでした」と最小限のコミュニケーションで終わらせるだろうなと思い、彼女もさすがにそうするしかないのではと見ていました。
しかし、彼女は違いました。「Aさん、お疲れ様です!あ、その山吹色のジャケット、Aさんのお肌の色味とぴったり合ってとても素敵ですね!」と明るく出迎えたのです。 するとAさんは、怒りの表情がスッと消えて、「なにそれ……そんなこと言っても何も出ないよ」と苦笑いして、いくつか言葉を交わして「どうもありがとう」と言って、いつもの穏やかな表情で席に戻って行かれました。 私は思わず感動して「山吹色なんて、小学校の図工の時間以来、口にしたことがないよ。すごいね。よくとっさにあんな褒め言葉が出たね」と興奮して彼女に話しかけました。 彼女は「ふふ」と笑っていましたが、その時に私は彼女が「自分のところに来た人には必ず何か1つ褒める」ということを「仕事・使命」にしていたのだなと気付きました。 社交辞令ではなく、毎回本気で人を褒めていたということです。そうでないと、瞬時にその人の良いところを見つけて的確に人を褒めることはできないと思います。 ● 「本気の誉め言葉」を徹底し続けた 彼女の葬儀で見た光景 そんな彼女でしたが、残念ながら先日、病気で他界しました。葬儀は職場からは距離のある場所で行われたのですが、本当にたくさんの人達が参列に訪れていました。