俳優・山西惇、車の中で号泣した最優秀男優賞受賞の知らせ。コロナ禍では思い詰め…「役者を辞めようと思ったこともあった」
舞台に映画…楽しみがいっぱい
劇団ナイロン100℃の30周年記念作品であり、初の時代劇に出演している山西さん。本多劇場での東京公演を終えて、地方公演を行っているところ。『江戸時代の思い出』というのは、一体誰のどんな思い出なのか? 誰も予想していなかった展開に…というお話。山西さんは、考古学者のクヌギ役を演じている。 「還暦を過ぎてこういう芝居ができるというのは、本当に幸せだなと思っています。こんなに客席が湧く芝居はなかなかないよっていうぐらい本当に喜んでくださっているし、このナイロン100℃という劇団が30年かけて培ってきたその原点に帰るような芝居なので、みんながとにかく楽しそうで。そこに混ぜてもらって僕もすごい楽しくやっています」 ――ものすごくおもしろかったです。パンフレットに最初のうちは何がどうなるかがまったくわからない状態だったと書いてありました。 「そうなんです。どうなっていくのかなって。主宰のKERAさんは、稽古をしながら台本を書かれるスタイルなので、先々とかまったくわからないし、自分がどういう役をやるのかも最後までわからないんですよね。『最後の最後に俺出てきちゃった』みたいなのがあったりするので(笑)」 ――いつ頃固まるものなのですか、形になるのは? 「劇場に入る1週間前ぐらいですかね。KERAさんとは何本かやらせていただいていますけど、大体いつもそんな感じです」 ――それであんなに楽しい作品ができるというのがすごいですね。 「これがもうマジックですよね。芝居のトーンが見つかるまではかなり苦労しましたけど。『今回、どこに行けばいいんだよ?』って(笑)。その結末がわからないから、どうにでもできるって、すげえ難しいんだなって思いました」 ――でも役者さんたちの顔ぶれを見て、この方たちだからできるんだなって思いました。 「それはありますね。今回は客演の皆さんもKERAさん作品の経験者ばかりでしたからね」 ――私が拝見させていただいたときもカーテンコールがすごかったですが、連日そうでしょうね。 「そうですね。毎回すごく喜んでいただいています。次の日の公演もあるから、明日に疲れを残さないようにしなきゃなって、そのことばかり考えていましたね。とにかく何かケアしようとは思っているんじゃないですか。喉とか何か切れても嫌だし、足をちょっとひねってもすごくブルーになっちゃうから、何も起こらないようにしようって(笑)。 この年になってくると万全な体調ってことはあり得ないって思っているので。どこかしら痛かったりしますからね。プロ野球のピッチャーが、よく『調子が悪いなりに試合を組み立てました』って言うじゃないですか。それだなと思って」
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