「ハリウッドの制作側だったFXはリスクを負った」 真田広之氏「SHOGUN」がゴールデングローブで快挙の意義
SHOGUNに出演した俳優の竹嶋康成氏は、マーティン・スコセッシ監督が手がけた遠藤周作の小説が原作の「沈黙」にキリシタン役として出演。SHOGUNでも似たような配役だったが、両作品の違いについてこう語る。 「大物のスコセッシ監督の場合は、完璧に見せるというスタッフがいたものの、例えば日本の船を漕ぐシーンで、櫓が膝下までしか上がらないなどの間違いさえあった。修正をしたけれど、SHOGUNは最初からauthenticということにこだわった。見る人が見たら間違いが分かってしまうし、ちらとでも映るものでもいい加減にはしなかった」
■アメリカ人が「字幕作品」に慣れた背景 SHOGUNは昨年2月から10話で配信。真田氏は、ニューヨークでのプレミアでインタビューに応じ、こう語っていた。 「日本で学んできたこと、ラスト・サムライ以来、思ってきたことを全て注ぎ込んだ。異文化の映画を作るときは、本物を作らなければいけない。金儲けだけが目的ではない、全てが本物で、カメラの前にあるものはすべてが本質的なものでなければならない、という気持ちを込めた」
東京在住で、日本でのキャスティング・アソシエイトとして配役に当たったトニー・ペデシンさんは、同作品の特徴についてこう語る。 「ハリウッドの制作側だったFXは、リスクを負ったと思う。日本を舞台に7割が日本語で、壮大な戦いに臨む設定でありながら、最後は微妙な詩的な展開で終わるドラマが成功するとハリウッドでは誰が思うだろうか。でも作品は世界中の視聴者を魅了した」 ペデシンさんは、アメリカ人はかつて字幕に慣れていなかったが、Netflixなどストリーミングサービスで世界の作品を見るようになって字幕を読む習慣がついたことも人気につながったとみている。
津山 恵子 :ジャーナリスト