レーザー核融合実証へ…阪大発スタートアップが特別チーム
エクスフュージョン(大阪府吹田市、松尾一輝社長)は、2024年度内に予定するレーザー核融合の実証実験に向けて、浜松開発拠点(浜松市中央区)に約15人のプロジェクトチームを発足した。実験では模擬燃料の鉄球を1秒間に10個射出する装置と、10ヘルツのレーザーを照射する装置を統合。高速移動する鉄球を追尾して6方向から高繰り返しのレーザーを的確に当てられるかを検証し、装置の性能を調べる。 プロジェクトチームは4班で構成する。模擬燃料を供給する班、レーザーの照射装置を運転する班、レーザーの伝送経路にあるミラーを動かす班、各装置を統合して監督する班に分け、各班に3―4人を配置する。24年度内は大気中でレーザーを当てる実験を行い、25年度に真空中で高出力レーザーを当てる実験に進む。 エクスフュージョンは大阪大学発スタートアップで、30年代の発電実証を目指してレーザー核融合の技術開発を進めている。レーザー核融合は重水素と三重水素を核融合反応させ、エネルギーを取り出す技術。1グラムの燃料から石油8トン分のエネルギーを得ることができるとされる。 炉の運転では燃料になる氷状の粒を連続で射出し、多方向から高出力かつ高繰り返しのレーザーを当てて高温・高密度に圧縮する。燃料は海水からまかなえるため、ほぼ無尽蔵のエネルギー源として利用できると見込む。二酸化炭素(CO2)を排出しない発電方法としても関心を集めている。