仏領ニューカレドニアにマクロン大統領が非常事態宣言、暴動で死傷者
(ブルームバーグ): フランスのマクロン大統領は、独立推進派の抗議行動が暴動に発展した南太平洋の仏領ニューカレドニアに非常事態宣言を発令した。暴動で少なくとも3人が死亡し、ニッケル生産が中断した。
非常事態宣言は中部欧州標準時間(CET)15日午後8時(日本時間16日午前3時)から12日間続く。テブノ政府報道官が同日、この問題を巡りマクロン大統領が招集した閣議後に記者団に明らかにした。非常事態措置により、政府は公共の場での抗議活動禁止や自宅待機の義務付けなどの措置が可能になる。
抗議デモのきっかけは、現地の選挙権の要件を変更する憲法改正案。現在投票できるのはニューカレドニアに一定期間住んでいる人に限られ、1998年より後に住民になった人は、たとえ現地生まれでも事実上、除外される。
改正案はマクロン大統領が支持し、国民議会(下院)で今週可決された。独立推進派は憲法改正によって自分たちが選挙で不利になると警戒している。
抗議デモを受けて仏当局は警察を動員し、ニューカレドニアの空港を閉鎖した。130人が逮捕され、60人が負傷した。
抗議活動は鉱山会社を標的にしたものではなかったが、ニッケル生産が中断し、仏エラメットなど鉱山会社に影響が出た。ニッケルは電気自動車(EV)バッテリーの原料。米地質調査所(USGS)によれば、ニューカレドニアは昨年、ニッケルで世界生産量の約6%を占め、世界3位だった。
原題:Macron Imposes New Caledonia State of Emergency Over Protest (2)(抜粋)
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Ania Nussbaum, Samy Adghirni, Paul-Alain Hunt