石破政権の「14兆円」大型補正予算を経済のプロが「採点」 日本が“失われた30年”に陥っている本当の理由とは
“デフレマインドからの脱却”が重要
一連の不倫問題で役職停止となったが、国民民主党の玉木雄一郎氏が提唱していた政策はどうか。 「玉木さんとお話しさせていただいた時に感じたのは、世界標準の経済学をきちんと理解されている、ということです。ロシアのウクライナ侵攻前は高圧経済論が主流でしたが、最近は国が供給力強化のために積極的に投資するモダン・サプライサイド・エコノミクスと言われる考えが主流です。そこを玉木さんはよく理解されています。 日本の経済学はガラパゴス化し、世界標準の経済学とはかけ離れてしまっているとの認識のもと、安倍晋三元首相はノーベル経済学賞級の学者からよく意見を聴取していました。しかし、その後の官邸はそうした経済学や経済政策に十分な理解を示しているとはいいがたいでしょう」 その上で石破政権が採るべき経済政策は、 「いまはインフレですから、石破政権が目指すべきは“デフレからの脱却”ではなく、“国民のデフレマインドからの脱却”です。2009年にアメリカで発表された論文では『各世代の価値観はその世代が社会に出る年齢(18歳~25歳)の経済環境に一生左右される』と指摘されています。その中では特に『社会に出る時に不況を経験しているかどうかの影響が大きい』としています。日本は就職氷河期世代以降、ずっと不況が続いています。つまり、いまの50代前半より下の世代は若いときに不況を経験しているため、先の理論からすれば、財布の紐が上の世代より固いことになります。ですから、多少補助金が出たくらいでは、消費は上向かないでしょう。基礎控除等の引き上げでも難しく、お金を使う消費者にメリットのある政策ぐらい思い切ったことをやらないと、消費主導の経済成長は難しいでしょう」 デイリー新潮編集部
新潮社