なぜ日本は“スマートホーム化”に出遅れたのか? 家電王が語る世界との違い、普及へのカギ
家電や設備をネットワークに接続して操作できるようにすることで、暮らしがより豊かになり、ホームセキュリティの向上にもつながるのがスマートホームの魅力です。スマートホームは海外や日本でどのように普及し、今後はどのように進化していくのでしょうか? 今回は、“家電王”として知られ、国内外の最新スマートホーム事情にも詳しい中村 剛氏に話を聞きました。
日本はまだ遅れているものの、スマートホームの普及は右肩上がり
スマートホームの普及状況について中村氏は、「世界で右肩上がりに伸びています」と語ります。 「ロボット掃除機などのスマート家電や、セキュリティ、制御などの分野の比率が高く、近年はカーボンニュートラルに向けた取り組みが進むなかでエネルギー管理も重要なセグメントになっています。日本ではまだスマートホームをスマートデバイス単体で語られることが多いと思うのですが、世界ではトータルでエネルギー管理をする方向に向かっています」(中村氏) 世界ではスマートホーム化が進むなかで、中村氏は「日本は少し出遅れている印象がある」とのこと。 「Statista(※)の調査によると、日本のロボット掃除機などのスマート家電の保有率は10%と、中国、韓国、米国に比べて低いです。エンターテインメント関連(Bluetoothスピーカー、スマートTV、ストリーミング関連など)でも先述の3か国は70%以上なのに日本は26%。また、『スマートホームデバイスは保有していない』との設問に対しても65%とずば抜けて高いため、そもそもスマートホームデバイスとは何なのかを理解していないのかもしれません。遠隔操作ができるエアコン等は製品としてはかなり増えているのですが、その機能をちゃんと使えていない場合も多々ありますね」(中村氏) ※Statistaは100万点以上のデータを扱うビジネスインテリジェンスのポータルとして、170以上の業界、150の国と地域を対象とした、統計、業界レポート、市場予測、消費者サーベイなどを提供しています。各調査会社や公的機関含む22,500以上のデータソースから収集したデータに直接アクセスができ、ビジネスにおけるファクトに基づいた意思決定を支援しています。2007年にドイツで設立され、現在、世界14カ所に約1,400人の従業員を擁しています。