なぜ日本は“スマートホーム化”に出遅れたのか? 家電王が語る世界との違い、普及へのカギ
スマートホームプラットフォームの“一元化”が進む
当初、グーグルは「Google Home」、アマゾンは「Amazon Alexa」、アップルは「HomeKit」という独自のスマートホームプラットフォームを展開してきました。各メーカーの製品がそれぞれに対応するには、手間もコストもかかるため、2022年、それらを統合する規格として、無線通信規格の標準化機関であるCSA(Connectivity Standards Alliance)が「Matter」(マター)を立ち上げました。これにより、スマートホーム規格の標準化が進められていますが、まだまだ課題があるといいますす。 「日本の家電メーカーと話をすると、共通規格である『Matter(マター)』に対してあまり積極ではないと感じます。統一するといっても、電源のオン・オフやエアコンの温度を1℃上げるといった基本機能を統一するのは簡単ですが、メーカーだけのオプション機能まではなかなか統一できません。そこで、エアコンはこうしましょう、ロボット掃除機はこういう風にしましょうと、カテゴリごとに取りまとめが進んでいるわけですが、先述のCSAでの議論に積極的に入っていかないと、蚊帳の外でプロトコルが決まってしまいます」(中村氏) 続いて住宅設備に目を向けてみましょう。日本では住宅設備やエアコンなどの家電を接続してエネルギー管理を行うための共通規格である「ECHONET Lite(エコーネットライト)」が普及し、「HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)」によって空調や給湯、エネルギー管理などが行われています。 「住宅設備系はECHONET Liteで接続しつつ、スマート家電はMatterで連携し、それらを統合するシステムを組んでいく。今後は、このような流れで進んでいくと思います。例えば三菱地所の『HOMETACT(ホームタクト)』の場合、ECHONET Lite系はLIXILの仕組みをベースに、スマートデバイスと組み合わせてサービスを展開中です。また、マンションのエントランスの顔認証などの仕組みは自社だけではできないので、DXYZ(ディクシーズ)と連携してスマートホーム化の実績をたくさん積み上げているところです」(中村氏)