【インターハイ2024】東山の佐藤凪、全国制覇を成し遂げた精神力の強さ「痛みや恐怖を乗り越えてコートに立つつもりでした」
「痛みや恐怖心を持ってコートに入ってしまえば絶対プレーに影響してしまう」
8月9日に行われたインターハイ決勝、東山は盤石の試合運びで78-62の快勝を収めた。結果としては余裕を持っての勝利となったが、5連戦で迎えた決勝だけに、選手たちのコンディションは決して万全ではない。特に前日の準決勝、福岡第一を相手に劣勢を覆す強烈なパフォーマンスの末に足を痛めて退いていた佐藤凪のコンディションは、東山にとって懸念すべきポイントだった。 京都精華学園と岐阜女子による女子の決勝が終わり、男子の決勝を戦う選手たちがウォーミングアップのためにコートに入って来る。佐藤はその中で軽快な動きを見せており、他の選手と同じように声もよく出ていた。 しかし、あれだけ痛がっていたケガが一夜にして治るはずはない。連戦で蓄積したダメージ自体が決して小さくはなく、どの選手もギリギリの戦いを続けている中でケガを負ったのだ。前日の夜、佐藤は治療のためにチームを離れていた。優勝を決めた後、佐藤は「実は痛かったです」と明かす。 「不安や恐怖がなかったかと言われれば、正直ありました。ですけど、その痛みや恐怖を乗り越えてコートに立つつもりでしたし、絶対に言い訳にはしたくなかったです。痛みや恐怖心を持ってコートに入ってしまえば絶対プレーに影響してしまうと思ったので、何もなかったように振る舞っていました」 2年生ながら主力を務める佐藤は、自分が怖がってしまえばチームメートに悪い影響を与えてしまうと考えていた。「チームメートも不安に思っていたと思うので、少しでも安心させるために何もなかったように振る舞ってコートに立ちました。少しでもプレーでチームを引っ張りたいと思って、今日はチームを勝利に導くだけの活躍ができたわけではないんですけど、結局はチームメートに助けてもらいました。だからまずはチームメートに感謝したいです」 セーフティリードを保っての終盤となったが、タイトル獲得に飢えた選手たちに油断はなかった。佐藤も「本当に最後のブザーがなるまで一瞬たりとも気を抜いてはいなかったです。だからこそブザーが鳴った瞬間は本当にうれしかったです」と語る。 そして東山の伝統、勝利のカモンロッソを「最高の気分でした」と佐藤は笑った。 それでも、勝利の飢えはまだ収まっていない。この先のことに話題が移ると、佐藤は表情を引き締めてこう語った。「このチームはまだ完成形にはなっていないと思っています。限界はないし、3ガードならではの破壊力はまだまだ見せられると思うので、それをウインターカップまで突き詰めていきたい。個人的には去年のウインターカップ(準々決勝)で福岡第一に負けたのは忘れていません。ウインターカップでの借りはウインターカップでしか返せないと思うので、個人としてもチームとしても成長を止めず、ウインターカップでも日本一を狙って、またイチから頑張ります」