不妊治療対応の保険商品、販売解禁 子を望む夫婦の経済的負担は減るのか?
民間の保険商品は、不妊治療の負担軽減になる?
助成制度があるものの、継続的な不妊治療は経済的負担が大きく、不妊治療を諦めてしまう夫婦は少なくありません。不妊治療に対応した保険商品は、負担軽減につながるのでしょうか。不妊治療費に詳しいファイナンシャルプランナー、拝野洋子さんに聞いてみました。 「不妊治療保険について、複数の保険会社に確認したところ、現在(2016年3月21日時点)は各社で商品設計中の段階でした。お話を聞いた感触としては、医療保険の特約として付ける形になるのではないかと思います。その場合、がん保険のようにがんになってからでは加入できないのと同様に、不妊治療を始めてからでは特約をつけられないでしょう。つまり、若い時から特約をつける必要が出てくるかと思います。さらに、どの程度から『不妊治療をしている』と見なされるのか、夫に原因がある『男性不妊』に対してはどのように対応するのかなど、使い勝手が気になるところです。そのため、加入者の経済的負担が軽減されるかどうかは、現段階ではまだまだ不透明です」 拝野さんは、「そもそも『不妊治療』の定義が保険会社ごとに異なってくるのでは」と予想する。 「国は体外受精や顕微授精を対象とした『特定不妊治療』しか補助しませんが、都道府県・市区町村によっては人工授精などの『一般不妊治療』を補助する自治体もあります。不妊治療保険の商品化が進めば、特定不妊治療のみ給付金の対象とする保険や、一般不妊治療も対象とする保険など、いろいろと登場するのではないかと思います。ただ、2013年に特定不妊治療の助成金が段階的に縮小されることが決まった際も『不妊治療保険解禁か?』と話題になったのですが、不妊治療保険は実現しませんでした。今回も掛け声だけで終わらないかどうかが心配です」 不妊治療の相談件数は、年々増加傾向にあります。 子どもを望みながらも不妊治療に二の足を踏んでいる夫婦にとって、この新しい保険商品はどこまで助けになるのでしょうか。具体的な商品化の発表が待ち望まれています。 (南澤悠佳/ノオト、取材協力/厚生労働省、ファイナンシャルプランナー拝野洋子)