不妊治療対応の保険商品、販売解禁 子を望む夫婦の経済的負担は減るのか?
金融庁は、高額な不妊治療の費用をカバーする保険商品の販売を解禁する方向で調整しています。 晩婚化や初産年齢の上昇傾向を受け、不妊治療を受ける夫婦の経済的負担を軽減させる狙いがあるとのこと。民間の保険商品の登場は、不妊治療の後押しとなるのでしょうか。あらためて、不妊治療の現状を整理してみましょう。
不妊治療の助成制度は、拡大がある一方で縮小も……
不妊治療には健康保険が適用されない治療や検査が多く、高額な治療費を全額自己負担しなければいけません。不妊の原因を探る各種検査や、排卵日を見定めて自然妊娠を目指す「タイミング法」などの「一般不妊治療」であれば、そのほとんどは保険診療に該当します。 しかし一般不妊治療でも「人工授精」や「特定不妊治療」に当たる「体外受精」や「顕微鏡受精」は保険診療外。 病院により異なりますが、体外受精は最低でも1回の治療に付き約30万円はかかります。 そのため、診察を受けるたびに数十万円単位の費用が自費負担となるのです。 そもそも、健康保険の適用と適用外はどのように決めているのでしょうか。厚生労働省保険局の担当者によれば、「不妊治療に限らず、保険診療の対象となるのはすでに治療方法が確立していて、疾病または負傷を原因とした治療などに限られる。そのため、人工授精は現在適用となっていない」とのこと。 健康保険が適用されない「体外受精」と「顕微鏡受精」については、公費助成があります。夫婦の年間所得が計730万円未満の場合、1回の治療につき15万円まで、通算5年間で最大10回(初年度は年3回、2年目以降は年2回まで)の助成を受けられます。また、「平成27年度国補正予算」が成立したことで、初回の治療に限っては助成額の上限が30万円に引き上げられ、無精子症などの男性不妊への助成制度も新設されました。 しかし、助成拡大がある一方で、今年4月からは助成回数が6回(40歳以上の場合は3回)となり、対象となる女性の年齢は43歳未満といった助成縮小の一面もあるのです。 国の助成以外に、各自治体でも経済的な負担を一部軽減する制度があります。なお、国と自治体の制度を併用できるかどうかなど、助成の条件は自治体によって異なります。