新設ラッシュの「データサイエンス学部」を選ぶ上での4つの注意点とは?
近年、デジタル技術を活用し、ビジネスプロセスや文化、顧客体験を根本的に変革する「デジタルトランスフォーメーション」(DX)が急速に進んでいることは皆さんご存じのことと思います。国はデジタル社会実現の司令塔として2021年に「デジタル庁」を立ち上げて、データを使った新しい行政を進めていこうとしています。そんな中、日本各地の大学で「データサイエンス学部」「データサイエンス学科」が続々誕生しています。このデータサイエンス学部の選び方について解説します。(寺田拓司:東京個別指導学院 進路指導担当) 【表】共通テスト「情報1」の出題内容をチェック
データサイエンス学部・学科の新設ラッシュ
2017年に滋賀大学で、日本初の「データサイエンス学部」が設置され、翌2018年に横浜市立大学が続きました。近年「データサイエンス」の名称がついている学部・学科を新設・改組した大学に絞って挙げてみると、下表のようになります。また、2026年度以降もいくつかの大学で構想されていることがわかります。
データサイエンス学部で何を学ぶのか
「データサイエンス学部」とは、どのような学部なのでしょうか。一言でいうならば、デジタルデータ活用に向けて「データ処理などの理系的な要素」と「人や社会のニーズを理解する文系的な要素」を学び、データから新しい価値を見つけたり創造したりすることを学ぶ学部です。 具体的にはⒶ数学・統計学・機械学習といった数学・情報学の知識(データ分析)、ⒷプログラミングといったITエンジニアリングのスキル(データ処理)、Ⓒビジネス知識を活用し、データ分析や解析を行い、社会に有益な結論や知見を引き出し、意思決定に役立てるスキルなどを学びます。 データサイエンスを学ぶことで、さまざまな場面において「データを正確に理解」し、「物事を科学的に判断」する力を身につけ、説得力のある説明」ができるようになるでしょう。
なぜデータサイエンス学部が増えているのか
日本の未来社会を表す言葉に「Society 5.0」があります。Society 5.0とは、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く新たな社会のことです。第5期科学技術基本計画(2016年1月22日閣議決定)において「サイバー空間とフィジカル空間(現実世界)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会」と表現されています。 Society 5.0の実現によって、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)で得られたビッグデータを分析し、AIによって最適な解を導き出し、さまざまな社会課題の解決に役立て、人々がより幸福な生活を送れるようになると期待されています。 ビジネスの世界では、ビッグデータに基づいた的確でスピーディーな判断や意思決定が求められるようになってきています。さらに、データを用いて社会に有益な知見を引き出し、より良い商品やサービスを生み出し、多くの人々にとって幸せな社会を作っていこうという流れがあります。これからの時代は、誰もやっていないことや誰も解決できていない困りごとを見つけ、深く考えて、それを解決することこそが新しい価値を生み出す力だといえましょう。