《精鋭部隊が防げなかったトランプ銃撃》警備の“最大のミス”――なぜ犯行現場の建物屋上に警察官を配置できなかったのか。シークレット・サービスの警備計画に不備?
田舎の小さな町だからこそ起きた油断
また、報道されているかぎりでは、犯人に気づいた地元警察官がひとり、屋根に上ろうとして犯人に銃で脅され、上れなかったという経緯があったそうです。 屋根に上るために両手が塞がれていて、銃を持てなかったとの話もあり、やむを得なかった可能性もあります。シークレット・サービスの狙撃手は、そうしたやりとりを見て狙撃が遅れた可能性もありますが、それもまだ検証を待つ段階です。 今回の事件後、シークレット・サービスの幹部が「会場外の警備は地元警察の担当」と発言したことで、責任逃れだとの批判が湧きましたが、後にチートル長官は「全責任は自分にある」と発言しています。 ただ、警備計画の杜撰さはあるとしても、地元警察も会場外の危険性について、かなりの油断があったことは否めない印象です。 会場外の警備に緊張感がまったくなかったのは事実でしょう。米メディアの現地取材では、事前に地元警察が周辺住宅などの警戒パトロールをほとんどしていなかったことも明らかになっています。田舎の小さな町だからといって、やはり油断があったということでしょう。 なお、犯人の発砲直後のシークレット・サービスの動きはとくに問題はありません。大統領警護部の黒スーツ(特別捜査官)たちがトランプ前大統領を警護し、会場から速やかに避難しました。 さらに、重装備の「対襲撃班(CAT)が素早く会場内の警戒にあたってます。CATも特殊作戦部所属の特殊チームですが、彼らは制服部隊ではなく、特別捜査官の訓練を受けた精鋭部隊です。 文/黒井文太郎
黒井文太郎
【関連記事】
- 《米大統領暗殺の系譜》トランプだけではない、歴代大統領45人のうち3人に1人が暗殺事件を経験…過去の犯人から浮かび上がる共通項とは
- 《トランプ前大統領銃撃事件》「暗殺から助かる強運」「暴力に屈せず戦う姿勢」アメリカ国民が求める強いリーダー像を見せたトランプに“風”は吹くか?
- 〈突き上げた拳だけでない〉「特徴的なのは眉、横に広がった唇、支持者に目線がいくと表情が変わり…」銃撃直後のトランプ氏の”心理状態”を分析。一方、会見でのバイデン大統領は覇気がなく…
- 【漫画】年収200万円・48歳漫画家が婚活にめざめる…ニート寸前独身男がコミュニケーションの超応用問題に取り組むことを決意した切実な理由
- 【漫画】「大人の恋愛ってフィジカルから始まるものでしょ?」告白から順に段階を踏むのは中高生…中高年の恋愛とは