“裸足に近い”ソールで怪我を軽減 アメリカのランシューブランド「ALTRA(アルトラ)」
ー実際にこれらの機能により、怪我のリスクは減らせるのでしょうか? ALTRAのシューズは、外反母趾、足底筋膜炎、内反小趾、足指の間の神経損傷、中足骨痛に効果があることが証明されていて、米国足病医学協会および全米の医療コミュニティにも承認されています。 私たちのメインターゲットはトレイルやロードのランナーですが、実は健康志向の方々にも支持をされています。実際、私の母もひどい外反母趾を患っているのですが、ALTRAのシューズは足を圧迫しないため、履き心地がよいと友人にもすすめています。 そこで現在、私たちも足に問題を抱える高齢者のウォーキングをサポートする取り組みを行っています。 ーランニングシューズに戻ると、ALTRAは2022年に初のカーボンプレートを搭載した「バニッシュ カーボン」を発表して、今年新作も発売されました。自然な走りにカーボンプレートはどのように寄与しますか。 カーボンは剛性があり、変形しにくい素材です。一般的なシューズはこの性質を利用して、柔らかなフォームとの相互作用でスピードアップを図っています。ただ、私たちは従来のブランドはテクノロジーに依存をしすぎていて、人が本来持っている機能を生かしきれていないと感じていました。 そこでALTRAは既存のカーボンシューズよりも、カーボンの柔軟性を高めることに尽力しました。さらにカーボンの上に、柔らかなフォームをのせることで、足の自然な動きを邪魔することなく、カーボンの反発性を推進力へと変えることを可能にしました。
また柔らかさはありますが、下には曲がらず、上にのみ曲がるワンウェイフレックスカーボンを採用しています。 既存のカーボンシューズとは違う、とてもユニークなアプローチのカーボンシューズなのです。
足病医のフィードバックも取り入れる
ーこのような新しい商品の開発プロセスはどうなっているのでしょうか? ブランド創設当初は、ゴールデンが新シューズのコンセプトを私に伝え、私が実際にレースで着用して、フィードバックをゴールデンに伝え、それを製品に落とし込むというプロセスをとっていました。 現在はデザイナー、カラーリストなど、非常に大きな開発チームとなっていて、その中には足病医もテスターとして加わっています。彼らにサンプルを実際に履いてもらい、ソールやアッパーなどの改良点を医学的見地からフィードバックしてもらっています。ALTRAは足に良い健康的なシューズとして認知されているため、足の専門家の意見はとても重要です。