老後も「独身」の予定ですが、定年後の生活費が想像できません。一般的にはいくらかかるのでしょうか?
老後に対する不安の声が高まっている昨今、定年退職後の生活に不安を抱える方も多いのではないでしょうか。特に独身の場合、ひとりで生活を支えるための費用がどれくらいかかるのか、想像がつかないこともあるでしょう。 本記事では、一般的な独身者の定年後の生活費について解説し、老後の資金計画に役立つ情報をお届けします。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
定年後の生活費はいくら必要?
定年後に必要となる生活費は、独身であれば家計を1人分で考えればよいため、家族を持つ方よりは少なくなる傾向があります。しかし、収入源が年金のみになることを考慮すると、節約をある程度は意識した生活が基本になると想定されます。 総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」を基に、一般的な独身高齢者の月々の生活費を想定すると、14万円から15万円程度となるでしょう。この金額には、食費、光熱費、医療費、通信費、そして住居費などの「基本的な生活費」が含まれます。 また、令和6年度ベースの国民年金(老齢基礎年金)支給額は、満額でも月額換算6万8000円となります。将来は年金だけで生活しようと思っても、一般的な最低限度の生活すら、国民年金だけでは賄うことができないでしょう。 なお厚生年金であれば、日本年金機構の公式サイト記載「令和6年度の年金額の例(昭和31年4月2日以後生まれの方の場合)」を基に考えると、国民年金部分と合わせて月額換算で約16万円です。厚生年金に加入している場合であれば、定年後に年金だけで生活していくことは、可能といえそうです。
旅行や趣味に友人付き合いに……と、人生を楽しみたいのなら……
総務省統計局の行った調査とは別に、公益財団法人生命保険文化センターの調査も見てみましょう。 公益財団法人生命保険文化センターの2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」によれば、夫婦2人の老後生活においては、最低限度の生活費が平均で月23万円程度に加えて、経済的にゆとりのある老後生活を送るために、平均で月15万円程度が必要になると考えられているようです。 なお、この調査における「ゆとりのある老後生活費」は、日常の最低限度の生活費とは別に、レジャーや旅行、友人との付き合い、耐久消費財の買い替えなどに使われる費用となります。 「生活費」というと、日常的にかかる消費支出の部分ばかり思い浮かぶかもしれません。しかし、老後も人生がまだ続くことを考えると、最低限度の支出だけで生活費を見込んでいては、実際に老後を迎えたときに「こんなはずでは」と悩んでしまう可能性もあります。 とはいえ、あまり趣味にお金をかけない方や、友人と何かするよりひとりで楽しむことを好む方であれば、上乗せ額は6万円や7万円ではなく、数千円から数万円程度で済むこともあるでしょう。