呼吸の在り方を会得、恩師の背中を追い続ける 21世紀国際書展自民党総裁賞の桜井峰心さん
「字は体を表す」は、書いた字は人の性格を表すという意味の格言だ。毎日、筆をとるのは当たり前、書くことも嫌いではない。身構えることなく、自然体で書に臨むことで、線にも変化が出てきたのかもしれない。
平成22年秋から、自らも書道教室を主宰する。坂本会長に「そろそろ人を教えたら」と水を向けられたからだ。教室を運営して分かったことも少なくない。小学生から中学生になるとき、通う生徒は減る。高校生になって回数は減るものの、やめずに教室に来てくれる生徒もいる。そうした生徒をみると、自身がかつてそうだったように、教室が「行きたくなる場所」であってほしいと感じる。
理想の書は、所属する國藝書道院の齋藤香坡(こうは)代表、坂本会長の作品。2人が描く線には圧倒されるという。太く、大きくても、どこか繊細さを感じる。かすれたり、流れたり、それでいて全体のバランスは真似ができないほど絶妙だ。
「本当に一つ一つが生きている線なんです。字というより、絵なのかもしれないと思うこともあります。(2人の域に)追いつくこと? 全然無理です」
それでも、秘める心はある。「継続は力なり」。坂本会長から現在まで言われ続けている言葉だ。2人の達人の背中を追い続けることで、必ず見える境地があると信じている。(大谷卓)
さくらい・ほうしん
昭和45年12月22日生まれ。大和市出身。書道は小学3年生から、所属する國藝書道院の坂本香心会長が主宰する教室で学んだ。藤沢市の自宅で書道教室を主宰。小中学生や高校生、成人の教え子とペットに癒される毎日。絵手紙づくりにも挑んでいる。21世紀国際書展の文部科学大臣賞第1部門(漢字)などの受賞歴がある。