呼吸の在り方を会得、恩師の背中を追い続ける 21世紀国際書展自民党総裁賞の桜井峰心さん
7月10日に開幕する「第39回21世紀国際書展」(主催・産経新聞社、21世紀国際書会)の授賞式を前に、特別大賞に選ばれた4人の横顔を紹介する。自民党総裁賞の桜井峰心さん(53)は、書歴40年以上を経て、筆をとったときの良い呼吸の仕方に手応えも感じる。受賞を飛躍の契機として、2人の恩師の背中を追い続けていく。 【写真】自民党総裁賞を受賞した桜井峰心さんの作品 ■途中でふっと力を抜き、次につなげる 「一筆書いた後に、一瞬息を少しだけ吸うみたいにして書いていく。ずっと同じように息張って書き進めるのではなく、途中でふっと力を抜く感じで次につなげていくイメージです」 脳と体に酸素を供給する呼吸の在り方は、健康や感情、ストレスの軽減など、人が生活する上でもっとも大切なものだ。呼吸をコントロールし「良い呼吸」ができれば、プラスに働くことは間違いない。それは書でも変わらない。 書道は小学校3年生の時から始めた。実家のある大和市内の小学校での習字で「三」を書いたところ、担任の先生に褒められた。「習字をしたい」。母親にそう言って、近くの國藝書道院の坂本香心(こうしん)会長の書道教室に通い始めた。 週1回、低学年から高学年まで年齢に分け隔てなくいられる場所が心地よかった。中学生になっても、部活を終えてから夜に通った。墨の匂いが好きだったし、心穏やかにいられる空間だった。行くのが当たり前の場所。現在まで、書をやめたいと思ったことはない。 学生、社会人時代と長らく、点画を正確に書いてまとめる楷書に取り組んできた。「楷書だからカタい字が主になって、そこからなかなか脱出できなかった。でも、ここ数年、ちょっとだけ顔を出せてきたかなと思えるようになった」。そのイメージを持てるようになったのが、呼吸の在り方を会得したことだった。 「昔はずっと力が入ったまま。いまは、少し柔らかみがある線も入れられるようになった。昔の字と比べるとやや丸くなったという感じではないでしょうか」 ■教室が「行きたくなる場所」に