薬師寺の発掘調査 中心伽藍の「回廊」 規模と構造が明らかに/奈良
奈良市にある薬師寺の発掘調査で、中心伽藍の回廊の規模と構造が明らかになりました。 薬師寺は、710年の平城遷都に伴って造られた寺で、創建当時の「白鳳伽藍」を復興するため、1965年から本格的な発掘調査を行っています。奈良文化財研究所による今回の発掘調査では「回廊」の北西の隅が確認されました。この回廊は、壁の両側に通路を配置する「複廊」で、奈良時代の大寺院に採用されるなど格式が高いとされています。調査では礎石を抜き取ったとみられる穴などが見つかり、回廊が北西の隅で折れ曲がる様子が確認できます。また、これまでに行われた発掘調査の結果も合わせて、東西南北の回廊の長さがそれぞれ違うことがわかり、薬師寺の白鳳伽藍の回廊は、東西非対称となる可能性が高いとしています。このほか調査では、建物の土台「基壇」を構成する「地覆石」と「羽目石」が創建当時の姿で、良好に残っていることがわかりました。このうち「羽目石」は垂直に立った状態で見つかっています。 奈良文化財研究所 都城発掘調査部 和田一之輔 室長 「回廊の西北隅の柱の位置が正確にわかったことこれが一番大きな成果となります。羽目石が立った状態で、当時のままの姿で発掘するという機会は、私にとっても初めてでしたので、非常に驚きを覚えました」 なお、現地見学会は11月9日午前11時から行われる予定です。